mTOR(Mammalian Target of Rapamycin)は、細胞の成長、増殖、代謝、オートファジー、タンパク質合成を制御する重要なキナーゼで、PI3K/Akt経路の下流で働きます。mTORは、栄養状態、エネルギー、酸素濃度、成長因子などの細胞外環境を感知し、それに応じて細胞活動を調整します。
mTORは2つの異なる複合体(mTORC1とmTORC2)を形成します:
- mTORC1: タンパク質合成を促進し、細胞成長を調節。ラパマイシンで阻害される。
- mTORC2: 細胞の生存や代謝、細胞骨格の構築を調節。
mTORの過剰活性化は、がん、糖尿病、肥満、神経変性疾患などの病態と関連しています。一方、mTORの適度な抑制は、寿命延長やアンチエイジング効果が期待されています。ラパマイシンやその誘導体は、mTOR阻害剤としてがん治療や免疫抑制に利用されています。
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