頭痛・慢性疼痛・線維筋痛症・帯状疱疹・アトピー性皮膚炎・乾癬・過敏性腸症候群(IBS)・喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
多剤耐性菌感染症・糖尿病(特に2型)・不眠症・不安障害・うつ病・双極性障害・自閉症スペクトラム障害・更年期障害
強迫性障害(OCD)・統合失調症・学習障害・多汗症・発達性協調運動症・注意欠陥・多動性障害(ADHD)
心的外傷後ストレス障害(PTSD)・結節性硬化症に伴うてんかん・パーキンソン病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)
レノックス・ガストー症候群・ウエスト症候群・ドラベ症候群(大田原症候群)・ハンチントン病・高血圧・動脈硬化・心不全
下腿潰瘍・脳卒中・心筋梗塞・ミオパチー・筋ジストロフィー・緑内障・外傷性脳損傷(TBI)・多発性硬化症・潰瘍性大腸炎
クローン病・認知症・変形性関節症・リウマチ性関節炎・ベーチェット病・全身性エリテマトーデス(SLE)・自己免疫性肝炎(AIH)

CBD

CBDは、大麻草(Cannabis sativa)に含まれる主要なカンナビノイド成分の一つで、近年その医療・健康効果が注目されています。特に、慢性的な痛みや不安障害、炎症性疾患の症状緩和、さらにはてんかんの治療への可能性が示唆されており、身体のエンドカンナビノイドシステム(ECS)を介して多様な生理的プロセスに作用することが特徴です。

優位性

なぜ注目されているのか?

CBD(カンナビジオール)が注目される理由の一つは、私たちの体に備わっている「エンドカンナビノイドシステム(ECS)」の働きをサポートし、調整する能力です。ECSは、炎症や痛みの調節、免疫機能の管理、ストレスや感情のコントロールなど、身体の 恒常性(ホメオスタシス)を維持する重要な役割を果たしています。

CBDは、ECSの主要な受容体(CB1 および CB2)に直接作用するわけではありませんが、エンドカンナビノイド(例えば アナンダミド)の分解を抑えることで、その効果を間接的に増強します。また、TRPV1(痛みや炎症に関与する受容体)や 5-HT1Aセロトニン受容体)、GPR55(別名「孤児受容体」)にも作用することが報告されています。など、他の分子経路にも作用し、多面的な効果を発揮します。このため、CBDは特定の症状に対する局所的な効果だけでなく、体全体のバランスを整える可能性が期待されています。

さらに、CBDの安全性の高さもその大きな利点です。致死量が確認されておらず、「CBDによる死亡例はない」とされるほど、広範な使用が可能です。このような特性から、従来の治療法では十分な効果が得られなかった場合においても、CBDは有望な選択肢として注目されています。

Kiteresでは、CBDを多様な作用を持つ成分として捉え、その効果に関する研究の調査を進めています。以下に、現時点で明らかになっている、または研究段階にあるCBDの作用・効果の一部を示します。

抗炎症作用
CBDは、炎症性サイトカイン(例:IL-6TNF-α)の抑制を通じて、急性・慢性炎症を緩和します。リウマチや炎症性腸疾患などの治療補助として注目されています。
抗けいれん作用
CBDは、てんかんや発作の頻度を減少させる作用があります。特に、小児の難治性てんかんであるドラベ症候群やレノックス・ガストー症候群に対する効果が認められ、FDA承認薬にも利用されています。
睡眠改善作用
CBDは交感神経系を抑制し、副交感神経を優位にすることでリラックスを促し、入眠時間を短縮します。また、セロトニン受容体の調整や コルチゾール分泌 の抑制を通じて、睡眠の質を向上させます。
免疫調整作用
CBDは、免疫系の過剰反応を抑制しつつ、必要な免疫応答を維持します。自己免疫疾患や感染症リスクの管理に有望です。
エネルギー代謝の改善
CBDは、ミトコンドリア のエネルギー産生を最適化し、細胞の代謝を安定化させます。酸化ストレスを抑え、細胞の健康を維持します。
脳の健康維持
CBDは、血液脳関門 の透過性を調整し、必要な栄養を脳に供給します。有害物質の侵入を防ぎ、神経系の健康を守ります。
吐き気や嘔吐の緩和
CBDは、セロトニン受容体 に作用し、化学療法による吐き気や嘔吐を緩和します。特に、慢性的な症状改善が期待されます。
骨の強化と回復
CBDは骨芽細胞の活動を促進し、破骨細胞の過剰な働きを抑えます。これにより、骨密度を高め、骨折後の回復を早めます。
筋肉の回復促進
CBDは筋肉の炎症や酸化ストレスを抑え、筋繊維の修復を促進します。運動後の筋肉痛を軽減し、早期回復を助けます。
抗酸化作用
CBDは、フリーラジカル を中和し、細胞を酸化ストレスから保護します。老化防止や酸化ストレス関連疾患のリスク軽減に寄与します。
抗腫瘍作用
CBDはがん細胞の アポトーシス(計画的細胞死)を誘導し、シグナル伝達経路や血管新生を抑制することで増殖や転移を防ぐ可能性があり、乳がんや大腸がん、肺がんなどで効果が示唆されています。
疼痛緩和作用
CBDは、慢性痛、炎症性痛、神経性疼痛など幅広い痛みの緩和に寄与します。炎症や神経伝達を抑制することで効果を発揮し、鎮痛剤の代替としての可能性も研究されています。
血糖調節作用
CBDは、インスリン感受性 を高め、血糖値を正常化する作用が報告されています。糖尿病予防や管理の可能性があります。
神経の安定化
CBDは、GABAグルタミン酸 のバランスを調整し、神経の興奮と抑制を適切に保ちます。これにより、精神的な安定やリラックスを促します。
ストレス応答の調整
CBDは、 遺伝子発現 を調整し、ストレスや炎症への適応力を高めます。ヒストン修飾などを介して細胞の反応を最適化します。
脂肪代謝の改善
CBDは白色脂肪を褐色脂肪に変換し、エネルギー消費を増加させます。脂肪蓄積を抑え、肥満予防にも寄与します。
傷跡の形成抑制
CBDは、創傷治癒過程において過剰なコラーゲン生成や線維化を抑制し、傷跡の形成を抑える可能性が示唆されています。
臓器の線維化抑制
CBDは線維芽細胞の異常な増殖を抑え、肺や肝臓などの臓器での線維化を防ぎます。組織の健康維持に寄与します。
神経保護作用
CBDは神経炎症を抑制し、神経細胞の酸化ストレスや損傷を軽減します。これにより、アルツハイマー病やパーキンソン病などの進行を遅らせる可能性があります。
不安軽減作用
CBDは、セロトニン受容体 を調整し、不安感や緊張感を効果的に緩和します。PTSDや社会不安障害のほか、慢性的なストレスによる睡眠障害や心身の負担軽減にも寄与する可能性があります。
心血管保護作用
CBDは、血管内皮細胞の一酸化窒素(NO)生成を促し、血管拡張を助けます。これにより、血流が改善され、炎症や酸化ストレスが軽減して心血管疾患リスクが低下します。
記憶力の向上
CBDは神経細胞間のシナプス接続を改善し、記憶力や学習能力を高めます。神経伝達の効率を向上させ、脳を柔軟にします。
免疫と組織修復の強化
CBDは細胞間の情報伝達を調整し、エクソソーム の働きを改善します。これが免疫機能の活性化と組織修復を助け、炎症抑制にも寄与します。
腸と脳の健康の連携
CBDは、 腸内フローラ を改善し、腸粘膜のバリア機能を強化します。これにより、腸と脳をつなぐ健康的な関係を維持します。
細菌感染の抑制
CBDは細菌の細胞膜を破壊し、多くの病原菌に抗菌効果を示します。MRSAなどの治療補助として期待されています。
依存症の緩和
CBDは報酬系回路を安定化させ、渇望感を抑えることで依存症を改善します。ニコチンやアルコール依存の治療に有望です。
規制・利用状況

世界の「医療用大麻」事情

大麻は、古代から医療目的で使用されてきた歴史があります。紀元前2700年頃、中国の薬草学者である神農による記録では、大麻が鎮痛、抗炎症、消化促進、精神疾患のサポートに使用されたとされています。また、古代インドでも伝統医学の中で利用されていました。 古代エジプトやギリシャでは、炎症や痛みの緩和に用いられ、中世にはアラビア医師による医学の影響を受け、ヨーロッパでも痛みや発熱の緩和目的で利用されていたとされています。1800年代には、イギリスの医師オショーネシーが、大麻が痛みやけいれんの緩和に有用であると報告しました。また、日本では明治から昭和初期かけて痛み止めや咳止め薬として販売されていた記録があります。

WHO(世界保健機関)は「CBDは健康上のリスクが低く、医療的効果の可能性がある」と評価。
WHOが、各国に対してCBD規制の見直しと法的扱いの緩和を勧告。
日本では、すでに数百(600以上)の医療機関でCBDを導入している。(2024年現在)

各国の規制比較

国名
CBD
THC
アメリカ

州ごとに規制が異なるが、多くの州で合法。

合法
医療・娯楽用合法
ドイツ

18歳以上であれば自由に使用可能。

合法
医療・娯楽用合法
イギリス

医療用大麻(THC含む)は18歳以上で医師の処方がある場合に使用可能。

合法
医療用合法
オーストラリア

医療用大麻(THC含む)は18歳以上で医師の処方がある場合に使用可能。

合法
医療用合法
日本

医療用大麻(THC含む)は医師の処方がある場合に使用可能。

合法
医療用合法
医療用大麻が合法の国

アメリカ(州ごとに異なる)、カナダ、メキシコ、ウルグアイ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、ペルー、ジャマイカ、コスタリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ポルトガル、ベルギー、フィンランド、ギリシャ、ポーランド、スイス、チェコ、デンマーク、ジョージア、ルクセンブルク、キプロス、イスラエル、レバノン、ウクライナ、ジンバブエ、ザンビア、マラウイ、モロッコ、ルワンダ、南アフリカ、オーストラリア、タイ、韓国。

日本の医療用大麻規制

国際的な大麻の医療上の有用性が認められている流れを受け、2024年12月からの新規制施行により、大麻由来成分による医薬品の製造・施用が可能となりました。

  • 一般使用可能:CBD、CBNCBGCBCなどの精神活性化(陶酔感)作用を伴わない成分は、食品として扱われており、健康食品や化粧品などに利用可能です。
  • 医療利用可能:医師の処方により、THCを含む大麻由来の成分が利用可能です。現在、「エピディオレックス」(有効成分:CBD)が医薬品として承認されることを目指し、治験が開始されています。(2024年11月現在)
  • 違法事項:大麻草そのものを植物の状態で使用することは違法(大麻使用罪)。また、THC等の精神活性化作用のある成分を一般使用する事は違法です。

日本ではCBDが食品として扱われており(THCの残留値が欧米と比較して200~3万倍厳しい)、CBDが購入できない国や医薬品扱いで一般購入ができない国と比べると、利用環境は恵まれています。日本でもTHCについては、本当に必要な場合に限り、医薬品として使用することが可能である為、日本では大麻由来の成分すべてにアクセスが可能な環境が整えられていると言えます。

認可済みの医薬品(海外)

医薬品名・効果
主成分
認可された国
マリノール(Marinol)

化学療法やエイズに伴う食欲不振や体重減少の緩和。

ドロナビノール(THCに似た合成カンナビノイド)
アメリカ、カナダ、ドイツ、オーストラリア
セサメット(Cesamet)

抗がん剤治療中の悪心・嘔吐の緩和。

ナビロン(THCに似た合成カンナビノイド)
アメリカ、カナダ、イギリス
サティベックス(Sativex)

多発性硬化症の筋肉のけいれんやがん性疼痛の緩和。

THCとCBDを1:1で配合
カナダ、イギリス、スペイン、オーストラリア
エピディオレックス(Epidiolex)

小児てんかん(ドラベ症候群やレノックス・ガストー症候群)に伴う発作の緩和。

CBD
アメリカ、ヨーロッパ連合(EU)

  • 合成カンナビノイドは大麻植物には自然には含まれていない成分であり、人工的に合成された化合物です。
  • カンナビノイドには、複数の成分が相互に作用することで効果が高まるアントラージュ効果」があると考えられています。
  • 医薬品では規制や品質管理の観点から、成分の正確な含有量が求められます。そのため、自然のままのカンナビノイド群をそのまま使用することは難しく、標準化された特定成分のみを用いる形になっています。
  • 一部の患者にとっては、医薬品よりも大麻植物全草またはTHCを除去した大麻由来抽出物のほうが効果的と感じられる場合があります。
  • 日本では、THCを含む複合的なカンナビノイドを厚労省に申請、医師の管理下で使用できる運用を開始しています。
  • THCなどの規制成分を含まなければ、医師の処方無しに複合的なカンナビノイドは使用可能です。

大麻関連の上場企業(海外)

世界のカンナビジオール市場は2020年に約27億7,080万米ドルの規模を持ち、2021年から2028年の間に年平均成長率(CAGR)47.49%で成長し、2028年には約557億9,130万米ドルに達すると予測されています。日本円に換算して約8兆4000億円(1ドル=150円換算)

アメリカやカナダでは既に多くの上場企業が誕生しており、CBDなどのカンナビノイド需要の高さを伺えます。これが単一植物によるものと考えると、そのポテンシャルの凄さも感じられます。

  • キュラリーフCuraleaf Holdings, Inc):アメリカを拠点に、医療用および嗜好用大麻の生産・販売を行う企業。
  • グリーン・サム・インダストリーズGreen Thumb Industries Inc):アメリカ国内で大麻の栽培・加工・販売を行う企業。
  • クレスコ・ラボズCresco Labs Inc):大麻製品の栽培・製造・販売を手掛ける企業。
  • キャノピー・グロースCanopy Growth Corporation):医療用および嗜好用大麻の生産・販売を行う企業。
  • オーロラ・カンナビスAurora Cannabis Inc):カナダを拠点とし、医療用大麻の生産・販売を行う企業。
  • ティルレイTilray Brands, Inc):医療用および嗜好用大麻の生産・販売を行う企業。
  • トゥルーリーヴ・カンナビスTrulieve Cannabis Corp):フロリダ州を中心に医療用大麻の生産・販売を行う企業。

Kiteres独自の調査では、日本国内においてCBDおよびカンナビノイドを必要とする疾患などを発症した方の一定割合がCBD製品を使用する仮定で、最大約1.8~3.5兆円(小売価格により変動)の国内市場規模があると試算しています。

医療用大麻の関連動画

体内の大麻成分?エンドカンナビノイドについて (7分)
医療大麻はどんな病気に効くのか? (4分)
【Vice Japan】大麻で難病を治す「医療大麻」最前線 (27分)

2014年の動画である為、大麻関連規制は当時の内容です。

Weed The People(1時間33分)

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Image link
【TEDx】CBDとエンドカンナビノイドシステム | (14分)

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【TEDx】医療用大麻 | 小児性アルツハイマーの少女(約15分)

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【TEDx】医療用大麻の潜在的利点(10分)

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【TEDx】人類と大麻の関係を再考する (13分)

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臨床効果データ

どの程度の効果があるか?

これらの結果が得られたのは特定の試験条件や対象群に限られており、すべての個人や状況で同様の結果が得られることを保証するものではありません。

対象疾患と効果
対象人数
投与内容
てんかん

難治性てんかん(Dravet症候群)患者において、発作頻度が平均39%減少。重篤な発作(痙攣発作)が大幅に軽減され、治療抵抗性の患者にも有効性が示されました。

214人
CBDを1日20mg/kg、12週間投与
統合失調症

陽性症状(幻覚、妄想)および陰性症状(意欲低下、感情の平坦化)の改善が確認されました。従来の抗精神病薬と比較して副作用が少なく、患者の社会機能の回復にも寄与しました。

88人
CBDを1日1,000mg、6週間投与
社会不安障害

公衆の場でのスピーチ課題中、不安スコア(Visual Analog Mood Scale、VAS)が顕著に低下しました。被験者はCBD投与後、心拍数の安定や自律神経バランスの改善も報告。

24人
CBDを1回600mg、単回投与
クローン病(炎症性腸疾患)

臨床的改善が見られたものの、寛解率(症状が完全に消失した割合)は統計的に有意ではありませんでした。ただし、患者の自覚症状(腹痛や下痢)は軽減され、腸管の炎症を抑制する可能性が示されています。

20人
CBDを1日10mg、8週間投与
線維筋痛症

全般的な疼痛スコアが平均50%以上低下し、特に睡眠障害や日常生活への影響が軽減されました。患者の50%以上が治療に満足しており、疲労感や抑うつ症状にも改善が見られました。

20人
CBDを1日100mg、8週間投与
不眠症

不眠症患者の徐波睡眠(SWS)およびレム睡眠(REM)の割合を増加させ、睡眠の質を向上させる可能性が示唆されています。特に、ベースラインでSWSとREM睡眠が低い患者や日中の眠気がある患者で顕著な改善が見られました。

50人
CBD 300mgとテルペンを含む経口製剤を、4週間以上、週に4日以上投与
脳腫瘍(グリオブラストーマ)

標準治療のみのグループと比較し、CBD追加群で生存期間が倍増(約12~24か月)。

22人
1日あたり約400 mgのCBDを標準治療に追加
重要ポイント

どの様な特性があるか?

日本では大麻草(植物の状態)の使用は違法の為、抽出物を使用する。
CBDのみを抽出したアイソレートパウダーが原料のメイン。
CBDだけで見た場合、提供企業による性質などの差は無い。

日本では、規制上、規制対象外の成分のみを抽出した抽出物を使用する事が一般的で、CBDのみを抽出したものをCBDアイソレートと言います。CBDアイソレートは、不純物をほとんど含まない非常に高純度な状態です。これは、日本の規制が世界で最も厳しく、THCの残留基準を0.001%以下に設定しているためです(欧米の基準は0.2~0.3%以下)。 この厳格な基準に基づき、極めて高度な精製が行われます。この過程でさまざまな成分(農薬、重金属、菌類)も除去されるため、日本国内で流通するCBD製品は、実質的にその他に配合する原料の違いと言えます。 ナノ化リポソーム化 などCBDアイソレートをさらに加工する場合は、性質に差が出ます。

CBDは「ハイ」「中毒」にならない?

CBDは全く『ハイ』にはなりません。また、WHOは2017年の報告書で「CBDには、依存性のリスクが非常に低い」と評価しています。大麻には『CBD』と『THC』という代表的な成分があります。このうちTHCが『ハイ(陶酔感)』を引き起こす成分です。

日本ではTHCを含む大麻製品は一般的に違法とされており、使用はできません。ただし、医療目的で使用する場合には、「オピオイド系鎮痛薬」と比べると依存性が低いとされています。また依存性の評価は、WHOを含む複数の研究で示されており、THC(大麻)の依存性はアルコールやニコチンよりも低いとされていますので、今後、サティベックスのようなTHC配合の医薬品が認可された場合においても、安心して使用が可能と推測されます。

物質
精神的依存
身体的依存
オピオイド系鎮痛薬

モルヒネ、アヘン、フェンタニルなど

非常に高い
非常に高い
ニコチン
非常に高い
中程度
アルコール
高い
高い
THC(大麻)
中程度
低い
カフェイン
低い
低い

この評価はデビッド・ナット教授らの2007年の研究「Development of a rational scale to assess the harm of drugs of potential misuse」に基づいています。

摂取方法

どのように摂取すればいいか?

生体利用率」 を考慮して継続しやすい摂取方法を選択する。
吸収率を高める「ピペリン」と一緒に摂取する。
目的に応じた相性の良い成分と一緒に使用する。(アントラージュ効果)

CBDは、複数のカンナビノイド(CBG、CBN、CBCなど)と同時に摂取する事で、はじめて本領を発揮アントラージュ効果する事も多く、他のカンナビノイドやテルペンが配合されている事で、目的の効果に近づけられる可能性があります。

また、ピペリンなどを配合する事で吸収率も高まる為、同じ摂取量でも経済的かつ効果的です。

「吸収率」と「生体利用率」

一般的に「吸収率」が注目されがちですが、CBDが人体に作用する度合いを正しく評価するには「生体利用率」のほうが重要です。

CBDの吸収率と生体利用率の簡単な説明

  • 吸収率: 摂取したCBDのうち、胃や腸、または粘膜を通して血液に入る量の割合。
    (例: 100mgのCBDを摂取して30mgが血液に入れば吸収率は30%)
  • 生体利用率: 血液に入ったCBDが肝臓での代謝や排泄を経て、全身で実際に利用可能な状態で残る割合。
    (例: 血液に吸収された30mg中15mgが全身循環で使える状態で残れば生体利用率は15%)

つまり、CBDを100mg摂取して30mgが血液に吸収されたとしても、最終的に体内で利用可能なのは15mg程度ということになります。

各摂取方法の「生体利用率」比較
製品形状
生体利用率
持続時間
ベープ(気化吸引)

電子タバコ用デバイスを使用。CBD以外の原料のPG、VGなどの希釈剤の加熱による発がん性物質の発生が認められており、その他のリスクも多く報告されている。

CBD以外の成分を起因とする健康リスクが高く非推奨
CBD以外の成分を起因とする健康リスクが高く非推奨
ダビング(気化吸引)

ガラスパイプなどでCBDアイソレートパウダーを加熱して気化します。不純物を含まず安全性が高い。即効性が最も高く生体利用率が高いが、道具を必要とする。効果が現れるまで数分以内。

約34〜56%
1~3時間
ティンクチャ―オイル(舌下摂取)

オイルを舌下(ベロの下)に垂らして1分程度転がすことで、粘膜からCBDを吸収させます。MCTオイルを使用したオイルが吸収率が良く酸化しにくいため推奨されます。効果が現れるまで約15~30分程度。

通常:20~35%
ピペリン併用:40~50%
通常:4~6時間
ピペリン併用:4~8時間
アイソレートパウダー(経口摂取)

オイルが苦手な方向け。無味無臭である為、摂取はしやすいが生体利用率が低く、非効率です。もしCBDアイソレートパウダーのまま使用する場合はピペリンの併用が推奨されます。効果が現れるまで約30分~2時間。

通常:6~20%
ピペリン併用:25~30%
通常:4~6時間
ピペリン併用:4~8時間
グミ(経口摂取)

効果が現れるまで約1~2時間と時間が掛かる為、ゆっくりの効果でもよく、長く効果を持続させたい場合に向いています。

通常:約10~20%
ピペリン併用:約30~50%
通常:4~8時間
ピペリン併用:6~10時間
バーム / オイル(塗布)

痛みがある患部などに直接、塗布します。効果が現れるまで約5~20分程度。

通常:約5~15%
ピペリン併用:約10~20%
いずれも約2~4時間

摂取量の目安

摂取目安を参考にはじめて、自分の適量を知る。
摂取目安を超えても特に問題は無い。
過剰に摂取すると効果が落ちる。(逆効果)

以下の表は、ご自身に適した摂取量を見つける際の参考としてご利用ください。CBDは安全性が高いため、摂取量について過度に神経質になる必要はありません。臨床試験では500~1000mgの使用例も多くあります。ただし、経済的で効果的な適量は個々の体質や健康状態によって大きく異なります。

初めて使用する場合は、低用量から始め、徐々に摂取量を増やしながら効果を実感できる適量を見つけてください。心身ともに健康な方の場合、特に目立った効果を感じないこともありますが、その場合でもエンドカンナビノイドシステム(ECS)を介して、目に見えない・体感できない不調を改善している可能性があります。

CBDは、人間の体内に存在する受容体(「鍵穴」)に適合することで作用します。この「鍵穴」に適した量以上を摂取しても効果が向上するわけではありません。むしろ、過剰摂取すると効果が減少する可能性があります。この現象は「二相性効果」と呼ばれています。

体重
低用量(1日)
高用量(1日)
40 kg
10~20 mg
40~80 mg
50 kg
13~25 mg
50~100 mg
60 kg
15~30 mg
60~120 mg
70 kg
17.5~35 mg
70~140 mg
80 kg
20~40 mg
80~160 mg

副作用・注意

日本では、法律上、食品扱いの成分です。安全性は高く副作用も稀で軽度のケースが殆どです。

CBDを避けるべき人:妊娠中・授乳中の女性、低血圧の方、重篤な肝疾患を持つ方、 CYP450酵素 を介して代謝される薬剤(例: ワルファリン、カルバマゼピン、クラリスロマイシン)の使用は薬の効果を強めたり、弱める事があります。
副作用:眠気、下痢、口の渇き。

CBD関連記事

参考文献:

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  2. Leweke, F. M., Piomelli, D., Pahlisch, F., et al. (2012). Cannabidiol enhances anandamide signaling and alleviates psychotic symptoms of schizophrenia. Translational Psychiatry, 2(3), e94.
  3. Bergamaschi, M. M., Queiroz, R. H., Chagas, M. H., et al. (2011). Cannabidiol reduces the anxiety induced by simulated public speaking in treatment-naïve social phobia patients. Neuropsychopharmacology, 36(6), 1219-1226.
  4. Chagas, M. H., Zuardi, A. W., Tumas, V., et al. (2014). Effects of cannabidiol in the treatment of patients with Parkinson’s disease: An exploratory double-blind trial. Journal of Psychopharmacology, 28(11), 1088-1098.
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