目次
1. 日本におけるPFAS汚染のリスク現況
1-1. 全体像
- 国内でも各地で検出が拡大
- 近年、全国の浄水場調査(厚生労働省・自治体公表資料)や地下水モニタリング(環境省・地方自治体等)によって、都市部や工業地帯、特定施設周辺でPFAS濃度が相対的に高いことが確認されています。
- 一例として、埼玉県、神奈川県(座間市など)、沖縄県(嘉手納周辺)などで数十ng/L〜100ng/L超の値が検出された事例があります。
- 米軍基地・自衛隊基地周辺以外にも原因が多様化
- 空港や消防施設(泡消火剤)、工業排水、廃棄物処理場、日常製品(撥水加工品、コーティング剤)など、排出源が多岐にわたるため、全国の各地域で局所的な高濃度検出が起こり得る(推測)。
- 農地、汚泥肥料からの懸念
- 汚泥肥料の調査(令和6年 農林水産省公表)では、PFOS/PFOAは比較的低濃度(多くは数~数十μg/kg)とされるが、農地土壌への長期蓄積や農作物への移行は未解明部分が多い。
1-2. 短鎖系PFAS(PFBS等)へのシフト
長鎖系(PFOS/PFOA)の規制⇒短鎖系の代替使用
- 世界的にPFOS/PFOAがストックホルム条約で規制される一方、短鎖系PFAS(PFBS, PFHxA, GenX 等)への代替が進んでいる。
- 短鎖系は安全か?
- 体内蓄積は比較的少ないとされるものの、毒性・生態影響は未解明の部分が多く、欧米では包括規制への流れが強まっている(ECHA, 2023)。
- 日本国内ではまだ規制が進んでいないため、工業製品や農薬などで短鎖系PFASが広く使用・排出されている可能性がある。PFOA/PFOS/ PFHxS が規制対象となったが、化学式を少し変えるだけで規制を潜り抜ける事が出来る為、包括的な規制でない限り意味を成さないと考えられる。
2. PFAS汚染の可能性があるエリアの回避策
以下は「相対的にPFAS汚染リスクが高い(かもしれない)エリアを避ける」という観点での参考情報です。
- 大都市圏・工業地帯・人口密集エリア
- 大量の産業排水や下水処理場の放流水が集まるため、河川・地下水のPFAS濃度が上昇しやすいと考えられています。
- 特に首都圏(利根川水系・荒川水系)、京阪神(淀川水系)などの主要流域は、すでに10〜20ng/L以上の検出事例が多々報告されています(厚労省調査、自治体報告等)。
- 空港・消防・自衛隊基地など泡消火剤使用エリア
- 消火訓練での泡消火剤(PFAS含有)使用により、土壌・地下水へ流入するケースが国内外で確認されています。
- 例: 神奈川県座間市(陸上自衛隊キャンプ座間付近)、米軍基地周辺、茨城県百里基地など(いずれも報道・自治体調査より)。
- 周辺井戸水を利用している場合は、エリア回避または水質データの確認を強く推奨。
- 廃棄物処理場・埋立地周辺
- PFASを含む製品(撥水紙容器、衣類、カーペットなど)の焼却灰・埋立地浸出水が、長期的に地下水へ流れ出る可能性が指摘されています(海外事例多数)。
- 日本でも自治体や焼却施設の立地情報を調べ、近隣の河川や井戸水質データを確認するのが望ましい。
- 農薬・汚泥肥料の大規模使用地域(推測)
- 米国などではPFAS含有の農薬や肥料が原因で土壌・作物に蓄積する事例が徐々に報告されています。
- 日本で同様の実態把握は進んでいないが、大規模集約農地(特に工業地域近接や都市近郊)では注意が必要かもしれません。
3. 浄水器以外でのPFASリスク回避方法
以下の方法は万能ではなく、あくまでリスク低減策の一部として考えてください。
3-1. 飲用水以外の経路にも着目する
- 調理器具・撥水加工製品の見直し
- フッ素樹脂加工のフライパンや撥水スプレーなど、日常的にPFASを含む製品を使用することで皮膚や呼気、食品への移行もあり得ます。
- 「PFOAフリー」表記のフライパンが増えていますが、別の短鎖系PFASを使っている可能性もあるため、製品情報を確認するなどの注意が必要(推測)。
- 紙容器・ファストフード包装の利用頻度を減らす
- 油を通さない紙コップ、ファストフードの紙包装などにPFASが含まれる例が海外で確認されています。
- 日本では未だ使用実態が完全に公開されていないため、過度に使い捨て容器を利用しないなどの工夫も考えられます。
3-2. 食品選択と調理法
- 有機栽培・無農薬栽培の野菜・果物
- PFAS農薬や汚泥肥料の使用が懸念される場合、有機JAS認定等の農産物を選ぶのも一つの方法。
- ただし、完全にPFASフリーが保証されるわけではなく、特に大気・水系からの汚染は避けきれない可能性があります。
- 魚介類の産地選択
- 河川・内湾の汚染がある地域で獲れた魚介類から海洋汚染によるPFASが検出される事例が報告されています(海外報告、国内はデータ限り)。
- 魚介類は栄養価が高い一方、PFASが生物濃縮しやすいとの研究もあるため、産地を確認し、偏らず多様な食材を摂ることがリスク低減につながります。
3-2. 食品選択と調理法
撥水・防水加工品を安易に多用しない
- アウトドア製品や撥水スプレーなどにPFAS(特に短鎖系)が使われている例が多く、定期的に洗浄すると洗濯排水経由で環境へ放出される恐れがあります(推測)。
- “フッ素不使用”や“PFCフリー(PFC=Perfluorinated Compoundの略称)”と明記された製品を選ぶことで、多少の回避が可能かもしれません。
4. 今後の見通し
- 欧米ではPFAS全般の包括規制へ
- EU化学品庁(ECHA)が短鎖・長鎖問わずPFAS類を一括制限する提案を2023年に公表。
- 米国も一部州(メーン州、ミネソタ州など)で2030年までにPFASを含む製品を原則禁止する州法が成立。
- 日本はPFOS/PFOA以外のPFASの規制が遅れており、将来的に欧米の規制導入に合わせて国内企業も対応を迫られると考えられます。
- 国内データの拡充
- 厚生労働省や環境省によるPFAS調査が2021年以降加速しており、自治体のモニタリングや住民血中濃度調査が今後さらに進む見込み。
- 農薬や肥料を含む食品由来のPFAS暴露も徐々に研究される可能性が高く、消費者への情報公開が望まれます。
- 個人レベルの対策は不十分になりがち
- PFASは環境中で「広域汚染」しやすく、個人の努力だけでリスクを完全に回避するのは限界がある。
- よって自治体や国レベルでの排出源管理、製造・使用規制が重要となります。
5. まとめ
- PFASはすでに日本国内でも広範囲で検出され、特に都市部・工業地帯・消防や軍事拠点周辺などでは相対的にリスクが高い傾向(根拠:厚労省調査、自治体報告)。
- 汚泥肥料や農薬による農地残留など、今後さらに注意・研究が必要なルートもあり、リスク要因は多岐にわたる。
- 回避策としては、(1)エリア選択(大都市部や特定施設周辺は避ける)、(2)消費製品や食品の厳選、(3)日常生活で撥水・防水製品の使用を減らすなどがあるものの、どれも完全には排除できない。
- 欧米各国の規制強化に比して国内の規制はまだ限定的なため、個人レベルの対応だけでなく、社会的な監視・情報公開・規制整備が求められる。
参考文献:
- 厚生労働省「全国水道水中のPFOSおよびPFOAに関する調査結果」
- 農林水産省「汚泥肥料中のPFOS及びPFOAについて」令和6年6月更新
- 「汚泥肥料中のPFOS・PFOA濃度調査結果」およびTDI(耐容一日摂取量)との比較
- ECHA(欧州化学品庁): PFASに関する包括規制提案 (2023)
- 短鎖・長鎖問わず幅広いPFASを一括して制限する方針の公表文書
- 米国EPA: PFAS Action Plan
- 米国環境保護庁が進めるPFAS包括的アプローチ。州レベルの独自規制も進展
- Environmental Health Perspectives, Environmental Working Group (EWG)報告
- 農薬へのPFAS含有(有効成分・助剤)などを指摘する論文・報告