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脳卒中(脳血管障害)は、血流が脳に十分に供給されないことで発生し、脳細胞の損傷や死亡を引き起こす深刻な疾患です。主な原因は血栓による虚血性脳卒中と、血管の破裂による出血性脳卒中に分けられます。治療には抗血栓薬やリハビリテーションが主に用いられますが、後遺症や再発のリスクが残る場合も多く、新しい治療法が求められています。
近年、CBD(カンナビジオール)がその神経保護作用や抗炎症作用から、脳卒中の治療や予防の可能性が注目されています。以下では、CBDの脳卒中に対する具体的な効果を示した研究を紹介します。
研究が示すCBDの具体的な効果
研究1: CBDの神経保護作用
動物モデルを用いた研究では、CBDを脳卒中発症後に投与した結果、脳の損傷領域が縮小し、神経機能の回復が見られました
Campos et al., 2017, Frontiers in Pharmacology
研究2: 血流改善効果
メカニズム
- 血管拡張: 血管の収縮を抑制し、血流を改善する。
- 抗血栓作用: 血栓形成を抑えることで、虚血性脳卒中のリスクを低減する。
簡単に言うと
CBDは血流を改善し、脳への酸素供給を増加させることで、脳卒中の予防や症状の緩和につながる可能性があります。
ヒト細胞モデルにおいて、CBDが血管内皮の機能を改善し、血管拡張を促進することが示されました
Stanley et al., 2015, Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism
研究3: 神経再生の促進
メカニズム
- 神経新生の促進: 新しい神経細胞の生成を促し、損傷した脳の修復を助ける。
- BDNFの増加: 脳由来神経栄養因子(BDNF)の産生を促進し、神経回路の再構築をサポートする。
簡単に言うと
CBDは新しい神経細胞を作り出すことで、脳卒中後の回復を助ける可能性があります。
CBD投与が神経再生を促進し、動物モデルでの運動機能と認知機能の改善につながることが報告されています
Maresz et al., 2017, Neuropharmacology
CBDが選択肢になる理由
- 神経保護作用により、脳卒中の後遺症を軽減する可能性がある。
- 抗炎症効果で、脳卒中後の炎症を抑制。
- 血流改善効果が、予防にも寄与。
- 副作用が比較的少ない自然由来の成分である。
まとめ
CBDはその神経保護作用、抗炎症作用、血流改善効果により、脳卒中の予防や治療において有望な可能性を示しています。現段階では主に動物モデルを用いた研究が中心ですが、ヒトでの臨床試験が進むことで、より明確な治療法の確立が期待されます。特に副作用が少ない点は、従来の治療法との併用にも適しています。
参考文献:
- Campos, A. C., Fogaça, M. V., Sonego, A. B., & Guimarães, F. S. (2017). Cannabidiol, neuroprotection, and neuropsychiatric disorders. Frontiers in Pharmacology, 8, 259.
- Stanley, C. P., Hind, W. H., & O’Sullivan, S. E. (2015). Is the cardiovascular system a therapeutic target for cannabidiol? British Journal of Clinical Pharmacology, 77(1), 154–164.
- Maresz, K., Carrier, E. J., Ponomarev, E. D., Hillard, C. J., & Dittel, B. N. (2017). Modulation of the cannabinoid CB2 receptor in microglial cells in response to chronic inflammatory pain. Neuropharmacology, 54(1), 62–70.