
中国伝統医学(中医学)とは、陰陽や五行などの独自の思想に基づき、身体の全体的なバランスを重視する医療体系です。古代中国の哲学や自然観を背景に、鍼灸や漢方薬など多様な手法を用いて、病気の予防から治療までを総合的に行います。個々の体質や季節に合わせたアプローチが特徴で、西洋医学と組み合わせた統合医療の分野でも注目されています。また「未病を治す」の考えも重視し、日々の養生を通じて健康の維持と増進を図る点が特徴的です。
中医学は約2000年以上の歴史を持ち、『黄帝内経』などの古典にその理論が記されています。古代より陰陽五行説を基盤に、鍼灸、漢方薬、推拿、気功など多様な治療法が発展しました。経験と哲学を融合させた総合的な医学体系として、世代を超えて伝承・改良されてきました。
今日、中医学は中国国内で公的医療として位置づけられるだけでなく、世界各地で補完代替医療や統合医療の一部として活用されています。大学病院や専門クリニックでも、漢方外来や鍼灸治療が行われ、西洋医学と併用される場面も増えています。
中国伝統医学は、日本の伝統利用である「和漢医学」の基礎となっています。奈良時代から平安時代にかけて中国伝統医学が日本に導入されました。当時の医書や漢方薬の知識が、日本の医療に取り入れられ、独自の発展を遂げ「和漢」として独自の発展を遂げています。
陰陽とは?
- 古典の定義
『黄帝内経・素問』「陰陽応象大論」によると、陰陽は自然界のあらゆる事象を二つの対立・互根(お互いに根拠をなす)する要素で捉える根本概念です。 - 相互関係と変化
中医学では「陰平陽秘(いんへいようひ)=陰と陽が平衡を保っていれば健康である」と説かれます。また「陰陽離決(いんようりけつ),精気乃絶(せいきないぜつ)」、つまり陰陽が離れてしまうと生命活動が維持できないとまで言及されています。 - 生理的側面
陽:温め・活発化・外向きの活動を担う
陰:冷却・滋養・内向きの蓄えや安定を担う
この2つが相互に補完・制約し合いながら、体温調節・代謝・ホルモンバランス・精神活動などを支えています。 - 病理的側面
陰陽のどちらかが過剰(実)または不足(虚)すると、不調や病気が生じやすいとされます。たとえば、陰虚(いんきょ)では身体がほてる、口が渇くなどの症状、陽虚(ようきょ)では冷え、倦怠感が著しくなるなど、典型的なパターンが古典や臨床でまとめられています。
五行とは
- 五行の由来
「木・火・土・金・水」の五要素を用いて、自然界や人体の生成・変化を説明する理論です。『黄帝内経』をはじめ、中国の古代哲学書『易経』などにもその思想的ルーツが散見されます。 - 相生(そうしょう)・相克(そうこく)
- 相生:木 → 火 → 土 → 金 → 水 → 木… のように、ある要素が次の要素を生み出す循環関係。
- 相克:木は土から養分を奪い、土は水を堰き止め、水は火を消す… といった抑制関係。
- 五臓との結びつき
- 木:肝 火:心 土:脾 金:肺 水:腎
これらは単に解剖学的な「臓器」ではなく、機能的・エネルギー的なまとまりを示しています。
- 木:肝 火:心 土:脾 金:肺 水:腎
- 感情や組織との対応
例えば、肝(木)は怒りや目、筋・腱などに関連し、肺(金)は悲しみや鼻、皮膚・体毛などに影響する、と古典的に整理されています。 - 臨床例
肝(木)が過度に高ぶるとイライラや肩こり、目の充血などが起こる場合があり、治療では「肝気を和らげる」生薬や鍼灸の手法を用います。
気とは
- 定義
中国中医科学院の『中医基础理论』では、気は人の生命活動を支える根本エネルギーとされます。呼吸や食物の摂取から作られる「後天の気」、先天的に受け継がれる「先天の気」があり、全身を巡りながら各種生理機能を担います。 - 病理
気が不足(気虚)すると疲労感や息切れ、免疫力低下などが生じ、気の流れが停滞(気滞)すると痛みや鬱々とした気分などが表れることが多いとされます。
血(けつ)とは
- 広義の血
現代医学の「血液」に限定されず、栄養・潤い・精神活動を総合的に支える体液全般を含む概念です。 - 病理
血虚(けっきょ)ではめまいや不眠、肌や爪のツヤ低下が典型症状として挙げられ、『婦人良方』など古代から女性の月経トラブルにも血の不足が深く関係すると説かれています。
津液(しんえき)とは
- 潤いの供給源
津液は唾液・涙・汗・体液を含めた身体の潤滑要素。中医学では脾や肺、腎の働きと深く関わると考えます。 - 病理
津液不足により、肌や粘膜の乾燥、便秘、喉の渇きが生じ、過剰時には痰湿(たんしつ)などが蓄積しやすくなります。
臓腑学説とは
中医学の臓腑学説は、人体を構成する主要な「臓」とそれに続く「腑」を、解剖学的な臓器だけでなく、機能やエネルギーの観点から包括的に捉える理論です。これにより、身体の生理・病理を総合的に理解し、個々の状態に応じた治療が可能となります。
五臓の特徴
肝(かん)
- 基本機能:血を貯蔵し、気のめぐり(疎泄)を司る。
- 関係・影響:感情面では「怒り」、視覚器官(目)、筋・腱など、筋肉や関節の健康にも深く関連。肝の機能が滞ると、イライラや筋肉のこわばり、目の疲れなどが生じやすいとされます。
心(しん)
- 基本機能:血脈を管理し、精神活動の中心として働く。
- 関係・影響:「心」は単なる解剖学的な心臓を指すのではなく、意識・思考・感情の本質ともされます。心が健全であれば、精神的な安定や思考の明晰さが保たれ、循環機能も正常に働くと考えられています。
脾(ひ)
- 基本機能:食物の消化吸収、水分代謝、血液の生成・保持。
- 関係・影響:「脾は後天の精を生む源」とされ、栄養の転化作用で全身のエネルギー源を供給します。脾気が弱いと消化不良や倦怠感、免疫力低下などが見られ、湿気がたまりやすくなるとされています。
肺(はい)
- 基本機能:呼吸機能の中心であり、全身の気を主宰。
- 関係・影響:皮膚や毛髪の状態、水分調節にも影響。悲しみの感情や涙とも関連し、肺の機能が低下すると皮膚の乾燥や呼吸器系のトラブルが発生しやすくなります。
腎(じん)
- 基本機能:先天の精を貯蔵し、生命力や生殖、骨格、ホルモンバランスを管理。
- 関係・影響:「腎は先天の根」と呼ばれ、成長・発育、老化、生命力の源泉とされます。耳、骨、歯、生殖機能とも深く関わり、腎の弱りは耳鳴り・腰痛・疲労感・不妊などの原因とされます。
六腑の特徴
胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦
- 基本機能:これらの腑は、消化・吸収・排泄などの運搬・変化機能を担い、食物や水分の受納・運化・排泄を行います。
- 三焦(さんしょう)の特別な位置づけ:三焦は上焦・中焦・下焦に分かれ、全身の気・血・津液を通す通路として重要です。具体的には、上焦は呼吸器・心血管、中焦は消化器、下焦は泌尿・生殖・大腸などを統括し、異常があると全身に影響を及ぼします。
機能的・エネルギー的な視点
中医学における臓腑は、西洋医学のように単一の解剖学的臓器として捉えるのではなく、機能・エネルギーのシステムとして理解されます。例えば:
- 肝の機能は、単に血液を蓄えるだけでなく、情緒や視覚機能、筋肉の健康とも関連し、全体として身体の気の流れや血液循環を調整します。
- 心の役割は、血の循環とともに精神活動を統括する、身体と心を融合させた存在とされています。
このように、臓腑学説は個々の器官を超えた統合的な働きを理解するための枠組みであり、診断や治療においては、患者の症状や生活習慣、感情状態などを総合的に把握し、どの臓腑に不調があるのかを見極めることが重視されます。これにより、鍼灸や漢方薬などの治療法を通じて、バランスの回復と健康維持を図ります。
経絡とは
経絡は、中医学における気の流れ(気血)が身体中を巡る通り道としてのシステムです。古代中国の文献『黄帝内経』などにその概念が記され、人間の臓腑や四肢、感覚器官などと外界を結びつけるネットワークとして説明されています。経絡は、臓腑の機能調整や、外部からの刺激を内臓に伝える役割を担います。
経絡の構造
十二正経(じゅうにせいけい)
十二正経は、基本となる12本の経絡で、人体の左右対称に存在し、それぞれ特定の臓器と対応しています。手足に分かれる経絡は以下のように分類されます:
- 手の三陰経・三陽経
- 三陰経:肺経、心包経、脾経
- 三陽経:大腸経、三焦経、胃経
- 足の三陰経・三陽経
- 三陰経:肝経、心経、腎経
- 三陽経:膀胱経、胆経、胃経
それぞれの経絡は体表から内臓へと深く関連し、特定の内臓や機能を支配するとされています。たとえば、肺経は呼吸器系や皮膚に関連し、腎経は骨や生殖機能とつながります。
奇経八脈(きけいはちみゃく)
十二正経に加えて存在する「奇経八脈」は、全身の気血のバランスを補完・調節する役割を担う重要な経絡群です。主要なものには以下が含まれます:
- 任脈(にんみゃく):身体の前面を中央から通り、臓器の調整に重要
- 督脈(とくみゃく):背骨に沿って走り、全身の陽気を統括
- その他、沖脈、帯脈、陰維脈、陽維脈、陰蹻脈、陽蹻脈など
これらは十二正経とは異なり、特定の臓器に直接対応しない場合も多く、全体のエネルギーバランスや特定の症状に対する調整に用いられます。
経穴(つぼ)と治療
経穴の配置
経絡上には無数の経穴が存在し、『黄帝内経・霊枢』などの古典には、各経穴の位置や特性、主治する症状について詳細に記されています。これらの経穴は、身体の表面にあり、指圧や鍼灸治療の対象となります。例えば、「合谷(ごうこく)」は手と足の間にあり、痛みやストレスの緩和に効果があるとされています。
鍼灸・推拿による刺激
- 鍼灸:細い針や艾(もぐさ)を経穴に用いることで、該当経絡の気血の流れを調整します。これにより、臓腑の機能を整え、痛みや不調を改善します。例えば、肩こりや腰痛などの慢性痛は、該当する経絡や経穴への鍼治療によって軽減が期待されます。
- 推拿(すいな):手技療法で経穴や周辺組織を揉むことにより、血行促進や気の流れを改善し、筋肉の緊張を和らげる手法です。
中医学の診断・治療の柱で、「弁証(身体の状態を総合的に判断)→論治(治療法を立案)」という流れを取ります。
- 四診:望診(視覚的観察)、聞診(聴覚・嗅覚)、問診(生活習慣や症状)、切診(脈診・触診)の情報をもとに、気血・臓腑のバランスを見極めます。
- 鍼灸(しんきゅう):経穴を鍼や灸で刺激。疼痛緩和や内臓機能の改善が期待されます。
- 漢方薬(中薬):複数の生薬を組み合わせた「方剤(ほうざい)」を処方。体質や症状に合わせて気血を補い、バランスを整えます。
- 推拿(すいな)・按摩(あんま):手技療法で経絡や筋肉を整え、気血の滞りを解消。
- 食養生(しょくようじょう):体質や季節に合わせた食材選びで、五臓の働きを補佐。
- 気功・太極拳:呼吸法やゆったりした動作で、気の流れをスムーズにして心身を調整。
中医学の食材リストは、季節ごとの気候変化や体質に合わせて選ぶ食材を分類し、寒・熱・温・涼・平といった性質に基づいて調整する方法です。例えば、春は肝を養う食材、夏は余分な熱を冷ます食材、秋は肺を潤す食材、冬は身体を温め腎を補う食材が推奨されます。さらに、各食材はその持つ寒熱の性質によって、体を温めたり冷やしたりする効果が異なります。
ハムなどの加工肉は、中医学的には温性を持つとされ、冷え性対策に有用とされることもありますが、現代医学では発がん性物質のリスクが指摘されています。これは保存料や添加物が影響するためであり、中医学の古典時代には考慮されていません。したがって、食材選びでは中医学の理論を参考にしつつ、現代の健康リスクも踏まえて適切な量や頻度で摂取することが求められます。安全性と伝統的な知恵をバランスよく取り入れ、季節や体質に合った食生活を心がけることが重要です。
1. 季節に応じた選択:
春・夏・秋・冬それぞれのリストを参考に、季節の変化に合わせた食材を選びます。例えば、春は肝を養うための山菜や緑野菜を、多湿で暑い夏は体を冷ます食材を中心に取り入れます。
2. 四気性を考慮:
自分の体調や体質に合わせて、寒・熱・温・涼・平の性質を持つ食材を選びます。冷えを感じるなら温性の食材を、体内の熱を感じるなら涼性の食材を増やします。
3. バランスと適量:
リストはあくまで目安です。現代医学のリスク(例:加工肉の発がん性)も考慮し、安全な量と頻度で摂取します。多様な食材をバランス良く組み合わせ、季節や個人の健康状態に合わせたメニューを計画します。
4. 実践と調整:
まずはリストから数種類を選び、実際に調理してみます。体調や季節の変化に応じて食材を調整し、無理のない範囲で中医学の知恵を生活に取り入れます。
季節 | 特徴 | 食材例 |
---|---|---|
春 | 肝を養い冬の老廃物を排出 | 山菜:ふきのとう, たらの芽, こごみ, ウド, せり, よもぎ, わらび, のびる, こしあぶら, あいこ 緑野菜:菜の花, 春キャベツ, ほうれんそう, クレソン, みつば, スナップえんどう, アスパラガス, ブロッコリー 香味野菜:しそ, パクチー, にら, ねぎ(青い部分), みょうが 豆類:そら豆, グリーンピース, いんげん豆, 絹さや, スナップえんどう 筍類:たけのこ, 姫竹 海藻:ひじき, あおさ, 青のり, 岩のり 貝類:あさり, はまぐり, しじみ, ホタテ, ミル貝, アサリ 果物:いちご, さくらんぼ, ネーブルオレンジ, はるか, デコポン 魚:鰆, カツオ(初ガツオ), 真鯛, 平目, ホウボウ 肉・卵:鶏肉, 卵, 鴨肉, うずら卵 発酵飲料:甘酒(ノンアルコール), 春限定の生酒 |
夏 | 余分な熱を冷まし潤いを保つ | 夏野菜:きゅうり, トマト, なす, ゴーヤ, ズッキーニ, オクラ, ピーマン, ししとう, モロヘイヤ, とうもろこし, ビーツ 葉物野菜:レタス, 水菜, 空芯菜, 壬生菜, サラダ菜, バジル, 大葉 果物:スイカ, メロン, 桃, ぶどう, マンゴー, パイナップル, キウイフルーツ, パッションフルーツ, ライチ 麺類:そうめん, 冷麦, ビーフン, 冷やしうどん, 冷やしそば 海藻:もずく, めかぶ, 昆布, わかめ, あかもく 豆腐・加工品:豆腐, ゆば, 湯葉, 油揚げ(やや温寄り), おから デザート・その他:ところてん, 寒天, 豆乳アイス, 葛切り 魚介:イカ, タコ, アジ, イワシ, カツオ(戻りカツオ), スズキ 肉:鶏むね肉(脂少なめ), 豚ヒレ肉(平~やや涼), 馬刺し(やや温) |
秋 | 肺を潤し乾燥を防ぐ | 果物:梨, りんご, 柿, いちじく, ぶどう, 無花果, 洋なし, ざくろ 白い食材:れんこん, 大根, 長いも, 白きくらげ, ごぼう(白い芯), 白菜 根菜:さつまいも, 里芋, かぶ, 長芋, さといも, 山の芋 きのこ:しめじ, まいたけ, しいたけ, エリンギ, えのき, なめこ, 松茸 ナッツ類:くるみ, カシューナッツ, アーモンド, ピスタチオ, ヘーゼルナッツ 穀類:新米, もち米, 玄米, 雑穀米, きび, あわ 魚介:秋刀魚, 鮭, サバ, 牡蠣, かつお, ほたて貝柱 肉・無添加の加工品:鶏もも肉, 合鴨肉, 豚ロース肉, ベーコン(やや温寄り), ハム(やや温) |
冬 | 身体を温め腎を補う | 根菜:大根, にんじん, ごぼう, れんこん, 里芋, かぶ, 長芋, かぼちゃ(やや温) 肉類:羊肉, 牛肉, 鶏肉, 豚肉, 鴨肉, 猪肉(ぼたん), 鹿肉(やや温~温), 馬肉(やや温) 魚類:ぶり, タラ, 鮭, 金目鯛, アンコウ, にしん, こまい 発酵食品:味噌, 納豆, 酒粕, 塩麹, 醤油麹, キムチ(やや熱) 芋類:さつまいも, じゃがいも, 里芋, 自然薯 香辛料:生姜, ねぎ, 唐辛子, シナモン, 山椒, 八角, クミン, クローブ きのこ:椎茸, 舞茸, なめこ, マッシュルーム, きくらげ(黒きくらげ), マイタケ 海藻:昆布, わかめ, ひじき, まこんぶ, 利尻昆布 果物:みかん, ゆず, シークワーサー, ポンカン, りんご(平~涼) |
性質 | 特徴 | 食材例 |
---|---|---|
熱性 | 身体を強く温める | 香辛料: 唐辛子, 山椒, 胡椒, カレー粉, 五香粉, 八角, 花椒 肉類: ラム肉, マトン, 牛肉(脂身多め), 鶏の皮(多量), 合鴨(皮付き) 野菜類: にら, らっきょう, にんにく(新物), わさび(辛味強), 葱(青い部分が辛味強) 酒類: 焼酎, 白酒, 紹興酒, 高アルコール度ビール, ウイスキー(ストレート) |
温性 | 身体を温める | 香辛料: 生姜, ねぎ(白い部分), シナモン, 陳皮, クミン(適量), ガラムマサラ(配合により温~熱) 野菜類: かぼちゃ, 玉ねぎ, 山芋(加熱), かぶ(煮物), 紫蘇, しそジュース(甘酸加減による) 肉類: 鶏肉, 牛肉(赤身), 鹿肉, 馬肉, 鴨肉(脂少なめ), カモシカ(希少), うずら 魚類: 鮭, サバ, うなぎ, カツオ(戻り), メカジキ, にしん(塩干し) 果物類: 桃, チェリー, ざくろ, 杏(干し杏), ドライフルーツ(加糖は注意) 発酵食品: 味噌, 納豆, 塩麹, 醤油麹, 酒粕(甘酒), キムチ(漬け具合で熱性寄り) 茶類: 紅茶(ストレート), プーアル茶, ウーロン茶(焙煎濃いめ) |
涼性 | 身体の熱を冷ます | 野菜類: きゅうり, トマト, レタス, セロリ, ピーマン, モロヘイヤ, 白菜(生), キャベツ(生), もやし, みょうが(少量で涼寄り) 果物類: りんご(やや涼~平), 梨(種類により寒も), 柿(涼~寒), キウイ, ビワ(やや涼), グレープフルーツ(白い品種は涼寄り) 豆類: 枝豆, 緑豆, インゲン豆(品種差), 大豆(生はやや涼~平), そら豆(やや涼) 海藻類: 海苔, もずく, めかぶ, わかめ, あかもく(量に注意) 茶類: 緑茶(薄め), 麦茶, ジャスミン茶(薄), ジンジャーティー(生姜量を少なめ) |
寒性 | 身体を強く冷ます | 野菜類: 冬瓜, 苦瓜(ゴーヤ), なす(大量生食), セロリ(多量), ふだん草(生), チコリ 果物類: スイカ, なし, バナナ, メロン, パパイヤ(完熟度で涼~寒), グアバ(品種差), ドリアン(一部は熱説あり), ライチ(やや涼~平の見解も) 海藻類: 昆布(煮出し長時間), ひじき, 海ぶどう(多量で冷やしすぎ注意) 魚介類: カニ(ズワイ, タラバ), クラゲ, ほや(量により涼~寒) その他: ところてん, 寒天, 菊花茶, 苦丁茶, ハイビスカスティー |
平性 | 中庸で多くの人に合う | 穀類: 白米, 玄米, 小麦, 大麦, とうもろこし, はと麦, きび, あわ, そば(品種によりやや涼説あり) 野菜類: キャベツ(加熱), にんじん, ブロッコリー, しめじ, えのき, しいたけ(種類差で涼も), たまねぎ(生は辛味によりやや温) 果物類: ぶどう(品種差で平~やや温), いちご(平~涼), りんご(やや涼~平), ブルーベリー(やや涼), プルーン(やや温説あり) 豆製品: 豆腐(木綿は平寄り, 絹やや涼), 高野豆腐(やや温), 納豆(やや温), 厚揚げ(やや温), 油揚げ(やや温寄り) 肉類: 豚肉(部位によって涼~平), 鶏ささみ(平), 七面鳥(平寄り), 魚類: 白身魚全般(タイ, ヒラメ, タラなど), サワラ(平~温), カレイ 卵: 鶏卵, うずら卵, 鴨卵(やや温説あり) 蜂蜜: 種類によりやや温~平 |
項目 | 具体的な方法 | 期待できる効果(中医学的) |
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早寝早起き |
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適度な運動 |
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呼吸法・気功 |
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十分な休息 |
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ツボ名 | 場所 | 主な作用 | 押し方のコツ |
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合谷(ごうこく) | 手の甲、親指と人差し指の骨が合わさる部分からやや人差し指側 | 肩こり、頭痛、ストレス緩和など | 痛気持ちいい強さで5~10秒かけて押し、ゆっくり緩める |
足三里(あしさんり) | 膝の外側下、指4本ほど下にあるくぼみ周辺 | 消化器の調子を整え、疲労回復、免疫力アップ | 親指や指先で円を描くように刺激し、適度な圧を加える |
湧泉(ゆうせん) | 足裏の中央より少し上(足指側)のくぼみ | 全身の気力向上、冷えやむくみの軽減 | 入浴後など足が温まっている状態で優しく押す |
方法 | やり方 | 効果・注意点 |
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お灸 |
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温熱療法 |
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疾患 | 主な漢方処方(日本名) |
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風邪・感冒 | 葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう) |
咳嗽・気管支炎 | 麦門冬湯(ばくもんどうとう)、沙参麦門冬湯(しゃじんばくもんどうとう)、百合固金湯(ひゃくいこきんとう) |
鼻炎・アレルギー性鼻炎 | 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、辛夷清肺飲(しんいせいはいん) |
消化不良・胃もたれ | 平胃散(へいいさん)、六君子湯(りっくんしとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) |
下痢・慢性下痢 | 柴胡瀉心湯(さいこしゃしんとう)、温胆湯(おんたんとう)、平上防風湯(へいじょうぼうふうとう) |
便秘 | 大黄甘草湯(たいおうかんぞうとう)、麻子仁丸(ますじにんがん)、潤腸湯(じゅんちょうとう) |
不眠・精神安定 | 酸棗仁湯(さんそうにんとう)、甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)、加味逍遥散(かみしょうようさん) |
頭痛 | 柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)、天麻鈎藤飲(てんまこうとういん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) |
月経不順・更年期障害 | 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、加味逍遥散(かみしょうようさん) |
慢性疲労・虚弱体質 | 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、八味丸(はちみがん) |
高血圧・動脈硬化 | 天麻鉤藤飲(てんまこうとういん)、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、牛車腎気丸(ぎゅうしゃじんきがん) |
糖尿病・代謝異常 | 六君子湯加減(りっくんしとうかげん)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、補中益気湯加減(ほちゅうえっきとうかげん) |
関節痛・リウマチ | 独活寄生湯(どっかつきせいとう)、五苓散加蒼朮(ごれいさんかそうじゅつ)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) |
肝機能障害・黄疸 | 茵陳蒿湯(いんちんこうとう)、柴胡疎肝散(さいこそかんさん)、甘露飲(かんろいん) |
喘息・気管支炎 | 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麦門冬湯加味(ばくもんどうとうかみ)、麻杏石甘湯(まきょうせきかんとう) |
胃炎・胃潰瘍 | 平胃散(へいいさん)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう) |
便秘がちの肌荒れ | 大黄甘草湯(たいおうかんぞうとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、牛車腎気丸(ぎゅうしゃじんきがん) |
以下は、中医学で抗がん作用があるとされている漢方です。単体で用いる場合もあれば、複数を組み合わせて方剤(複合処方)として用いられることが多いです。たとえば「白花蛇舌草+半枝蓮+白英」をメインに、補気薬(黄芪、人参)や活血薬(丹参)を加えて患者の状態に合わせる、といった形で弁証施治(個々の証に合わせた治療)が行われます。
漢方名 (中国語・英語) |
使用方法 | 副作用の強さ | 副作用の内容 | 日本での扱い |
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槐耳(Huaier) Trametes robiniophila |
煎剤、エキス剤、サプリメント | 比較的弱め |
・下痢、腹部膨満感 ・めまい、倦怠感(まれ) ・アレルギー反応(発疹) |
健康食品 ※医薬品としての承認なし |
白花蛇舌草(Bai Hua She She Cao) Hedyotis diffusa |
煎剤、粉末、複方漢方処方への配合 | 比較的弱め |
・体を冷やしやすい ・下痢、胃腸の不快感 ・過敏症状(発疹など) |
健康食品 ※一部複方漢方に使用可能 |
半枝蓮(Ban Zhi Lian) Scutellaria barbata |
煎剤、粉末、複方処方 | 比較的弱め |
・冷えによる下痢や倦怠感 ・まれに発疹などの過敏反応 |
健康食品 ※医薬品としての承認なし |
苦参(Ku Shen) Sophora flavescens |
煎剤、粉末、複方処方(中国では注射剤も) | 中程度(毒性成分含む) |
・悪心、嘔吐、胃痛 ・長期過量で肝障害 ・動悸など |
医薬品 ※一部処方漢方に配合 |
蟾酥(Chan Su) Bufonis Venenum |
主に複方製剤 ・伝統的に外用や内服あり(要厳重管理) |
強い(有毒) |
・嘔吐、動悸、不整脈 ・呼吸困難、意識障害(重篤) ・中毒症状 |
劇薬 ※日本での流通は極めて限定的 |
黄芪(Huang Qi) Astragalus membranaceus |
煎剤、エキス剤、複方方剤 | 比較的弱め |
・のぼせ、動悸(過量) ・発疹(アレルギー) |
医薬品および食品 ※漢方処方に使用されるが健康食品としての販売例もあり |
人参(Ren Shen) Panax ginseng等 |
煎剤、粉末、丸剤、エキス、サプリ | 比較的弱め |
・動悸、不眠(過量) ・発疹(アレルギーまれ) |
医薬品および食品 ※漢方処方に使用されるが健康食品としての流通多数 |
注意事項
- 毒性や有害性をもつ生薬
蟾酥や紅豆杉など、強い作用をもつものや有毒成分を含むものもあるため、専門家による正確な用量・配合が不可欠です。 - 単独ではなく弁証論治
中医学ではあくまで「全身のバランス」を考慮し、証に応じて組み合わせるのが基本であり、単純に「○○という生薬が抗がん作用を持つから飲めばよい」というものではありません。 - 現代医学的な治療との併用
中医学上は「扶正祛邪(体の正気を高め、病邪を排除する)」の理論により、がん治療に応用しますが、臨床現場では西洋医学の手術・放射線・化学療法と併用されるケースが多いです。
- 『黄帝内経』(素問・霊枢)
- 『傷寒論』(張仲景著)
- 中国中医科学院編『中医基础理论』(中国中医药出版社)
- 国家中医药管理局公式サイト
- 上海中医薬大学関連学術論文・教材