マグネシウムは、必須ミネラルの一つで、野菜やナッツ、全粒穀物などの食品から摂取されます。18世紀に発見され、エネルギー生成や筋肉・神経の機能、骨の健康維持に欠かせない栄養素として知られています。カルシウムと協力して骨密度を保つだけでなく、最近の研究では心血管疾患の予防や慢性炎症の抑制、認知機能の保護などにも関与する可能性が示唆されています。
マグネシウムが注目される理由の一つは、その多岐にわたる生理的役割と健康維持における重要性にあります。マグネシウムは、エネルギー代謝やタンパク質合成、筋肉や神経の正常な働きを支えるだけでなく、骨の形成と維持にも関与しています。また、慢性炎症を抑制し、血圧を調整するなど、心血管疾患の予防においても重要な役割を果たすことが知られています。
近年の研究では、マグネシウム不足が糖尿病、認知機能低下、骨粗鬆症などの慢性疾患のリスクを高める可能性が示唆され、これを補うことがこれらの疾患の予防や治療の一助になるとされています。
さらに、マグネシウムは比較的安全なミネラルとされており、不足しがちな現代の食生活を考慮すると、その適切な摂取がますます注目されています。特に、ストレスや特定の薬剤使用がマグネシウム欠乏を引き起こすこともあり、こうした背景からその重要性が再認識されています。
神経機能の保護
筋肉の健康
免疫調整
血圧調整
骨の健康促進
認知機能の改善
血糖調節
心血管保護
疼痛緩和
これらの結果が得られたのは特定の試験条件や対象群に限られており、すべての個人や状況で同様の結果が得られることを保証するものではありません。
対象疾患と効果
心血管疾患
食事性マグネシウム摂取量の増加が、心血管疾患および虚血性心疾患のリスク低下と関連していることが確認されました。
高血圧症
収縮期および拡張期血圧の有意な低下が確認されました。
片頭痛
片頭痛の発作頻度と重症度の減少が報告されました。
2型糖尿病
インスリン感受性の改善と空腹時血糖値の低下が確認されました。
不眠症
睡眠効率の向上と入眠潜時の短縮が報告されました。
うつ病
うつ症状の有意な改善が確認されました。
マグネシウムは、健康サポート目的であれば、バランスの取れた食事からの摂取可能です。骨粗鬆症や高血圧、片頭痛など特定の疾患では、臨床試験レベルの高用量摂取が必要になる場合があり、食事からの摂取は難しいといえます。
マグネシウムの種類
サプリメントのに用いられるマグネシウム化合物の種類としては以下の様なものがあります。マグネシウム化合物は体内に入ると、消化吸収を経てマグネシウムイオン(Mg²⁺)に分解されます。このイオンが、体内で様々な生理機能をサポートします。化合物の種類によって吸収率や作用部位が異なり、これがマグネシウム化合物ごとの特性を生み出します。
リン酸マグネシウム
骨や歯の構成成分として重要。食品中では豆類や種子に多く含まれ、体内で分解されマグネシウムイオンとして吸収される。
塩化マグネシウム
海水由来で、食品や健康食品に多く利用される。腸内で水分を保持する作用が強く、下剤や豆腐の凝固剤として使われる。
クエン酸マグネシウム
消化器系への負担が少なく吸収が良い。腸内環境を整える作用がある。
クロロフィル中のマグネシウム
クロロフィル分子(緑色植物の色素)の中心に存在し、緑黄色野菜に多い。吸収率が高く、特に骨や筋肉、神経の健康に寄与する。
マグネシウムイオン
天然水や硬水、魚介類に多く含まれる形態。腸で直接吸収されやすく、血液中にすばやく移行して全身で利用される。
グリシン酸マグネシウム
胃腸への刺激が少なく、リラックス効果が高い。有効成分グリシンが神経安定に寄与。
乳酸マグネシウム
胃腸に優しく、エネルギー生成をサポートする。筋肉や神経機能の維持にも有効。
トレオン酸マグネシウム
脳内への移行率が高く、記憶力や学習能力の向上が期待される。神経伝達物質の調節に寄与。
アスパラギン酸マグネシウム
エネルギー生成を助け、疲労回復や運動能力の向上に役立つ。
グルコン酸マグネシウム
吸収性が良く、腸への刺激が少ない。特に穏やかな胃腸作用が特徴。
摂取量の目安
マグネシウムを多く含む食材をバランスよく摂取する場合は、日常的に十分な量を摂取可能ですが、単体でみると日常的には続けにくい量が多い為、サプリメントによる補完が選択肢となります。
一部で「にがり」でマグネシウムを摂取する方法があるようですが、「にがり」は海水を加熱して濃縮して作られますので海洋汚染によるリスクにご注意下さい。
食材
カボチャの種
高カロリーのため、摂り過ぎに注意。サラダやヨーグルトに加えるのがおすすめ。
アーモンド
スナックやトッピングに最適。塩分を含む製品は控える。
ほうれん草(加熱)
茹ですぎると栄養が流出するため、蒸し調理がおすすめ。
大豆
煮豆、納豆、豆腐など幅広く利用可能。加工品で塩分の多いものに注意。
玄米
主食として取り入れるのがおすすめ。白米より栄養価が高い。別途、農薬のリスクも考慮する必要がある。
サバ
タンパク質も同時に摂取可能。焼き魚や煮魚として調理。別途、重金属や環境ホルモンなどのリスクも考慮する必要がある。
副作用・注意
日本では、法律上、食品扱いの成分です。安全性は高いと言えますが、念の為、以下にご注意下さい。
- Barbagallo, M., & Dominguez, L. J. (2010). Magnesium and aging. Current Pharmaceutical Design, 16(7), 832-839.
- Rosanoff, A., Weaver, C. M., & Rude, R. K. (2012). Suboptimal magnesium status in the United States: Are the health consequences underestimated? Nutrition Reviews, 70(3), 153-164.
- Veronese, N., et al. (2017). Dietary magnesium intake and risk of cardiovascular disease: A meta-analysis. The American Journal of Clinical Nutrition, 105(2), 266-273.
- Zeng, C., et al. (2015). Association between dietary magnesium intake and C-reactive protein levels in the US adult population. Journal of Human Nutrition and Dietetics, 28(3), 298-305.
- DiNicolantonio, J. J., et al. (2018). Magnesium for the prevention and treatment of cardiovascular disease. Open Heart, 5(2), e000775.
- Chacko, S. A., et al. (2011). Magnesium supplementation improves insulin sensitivity and metabolic control in type 2 diabetic subjects: A systematic review and meta-analysis. Diabetes Care, 34(4), 860-866.
- Tarleton, E. K., & Littenberg, B. (2015). Magnesium intake and depression in adults. Journal of the American Board of Family Medicine, 28(2), 249-256.
- Pickering, G., et al. (2011). Magnesium deficiency and neuropathic pain. Pain Physician, 14(3), E365-E375.
- Riaz, M., et al. (2019). Magnesium and human health: Perspectives and research directions. Integrative Medicine Research, 8(1), 59-64.
- Nair, A., & Nair, K. M. (2018). Clinical significance of magnesium in critically ill patients. Indian Journal of Critical Care Medicine, 22(10), 706-710.