フアイアとは、Trametes robiniophila Murr というキノコから抽出されたエキスで、伝統医学において約1600年前から利用されてきました。特に、中国での使用実績が長く、癌治療の補助療法として高い評価を受けています。現代医学の研究が進んだ結果、その抗腫瘍作用や免疫調整効果が臨床的に認められ、広範な応用が可能になっています。
フアイアは、中国の伝統医学で炎症や腫瘍抑制に用いられ、『本草綱目』に記録があることから16世紀には知られていました。1980年代、復旦大学附属腫瘍病院で原発性肝癌への効果が確認され、1992年に進行性肝癌治療薬として承認されました。フアイアに含まれるβ-D-グルカンは特有の分岐構造を持ち、免疫細胞の受容体と結合して免疫応答を促進します。他のキノコのβ-グルカンと構造が異なり、特に抗腫瘍効果や免疫調節作用で独自の特性を示します。
免疫力の強化
これらの結果が得られたのは特定の試験条件や対象群に限られており、すべての個人や状況で同様の結果が得られることを保証するものではありません。
対象疾患と効果
肝細胞癌
再発率が有意に低下し、無再発生存率(RFS)が改善。
胃がん
腫瘍増殖率が平均40%低下し、治療後の生活の質(QOL)が改善。
大腸がん
再発率が15%低下し、癌マーカー(CEA値)の顕著な減少を確認。
肺がん(化学療法併用)
1年生存率が18%向上し、免疫関連物質(IL-2やIFN-γ)の増加が見られた。
フアイアを抽出する為のキノコは、天然では非常に希少性の高く、人工栽培が一般的です。無加工の状態では、大量に摂取する必要があります。中国では抗癌剤として承認されていますが、一方で非常に安全性が高いのが特徴です。
フアイアの主成分
- β-D-グルカン:フアイアの主要成分で、特に β-D-グルカン が豊富に含まれています。この成分は、免疫細胞(NK細胞 や マクロファージ)を活性化し、抗腫瘍効果が期待されています。また、PI3K/Akt経路 を遮断することでがん細胞の増殖を抑制し、免疫機能を高める働きも示唆されています。
- TPG-1(プロテオグリカン):フアイア特有の成分として知られるプロテオグリカンの1種であるTPG-1は、多糖類とタンパク質が結合した複合体です。免疫細胞を活性化することでアポトーシス(細胞の自然死)を誘導し、がん細胞の増殖を抑える可能性が研究されています。また、炎症の抑制や細胞増殖の制御に関与するともいわれています。
- 水溶性タンパク質:フアイアには抗酸化作用を持つ水溶性タンパク質が含まれています。この成分は、炎症性サイトカイン(IL-6や TNF-α)の生成を抑制し、酸化ストレスを軽減することで、体内環境を整える働きが期待されています。
- アミノ酸:フアイアに含まれるアミノ酸(グルタミン、アスパラギン酸、グリシンなど)は、細胞の修復や免疫機能の向上に寄与します。特にT細胞の活性化を促進し、免疫力を高めることでがん細胞への攻撃をサポートすると考えられています。
- 微量元素:フアイアには、セレン や 亜鉛 といった微量元素が含まれており、これらは体内で抗酸化酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ や スーパーオキシドジスムターゼ)の働きを高めるとされています。これにより、酸化ストレスを抑え、細胞膜の損傷を防ぐ可能性があります。
- フェノール性化合物:抗酸化作用を持つフェノール性化合物は、細胞の酸化的ダメージを防ぎ、老化や慢性疾患のリスク軽減に寄与するとされています。活性酸素種(ROS)の除去に効果があることも注目されています。
フアイア由来のTPG-1は、分子量が大きいため、そのままでは吸収されにくく、消化酵素や腸内細菌による分解が必要です。これに対し、β-D-グルカンは消化酵素では分解されないものの、腸内細菌による発酵によって低分子化され、効果を発揮するとされています。いずれも臨床試験のような効果を期待する場合は、大量の摂取が必要となりますが、生体利用率を高める加工をする事で少ない摂取量にする事ができます。長期間使用する場合は、摂取しやすくするために低分子化や製剤技術の工夫が重要であり、直接吸収と間接的な腸内環境の改善を組み合わせて作用する点が共通しています。
摂取量の目安
以下は生体利用率を高める加工がされていない場合の目安です。
副作用・注意
日本では、法律上、食品扱いの成分です。安全性は高いと言えますが、念の為、以下にご注意下さい。
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- Zhang, N., et al. (2020). “The role of Huaier in cancer therapy.” Cancer Medicine, 9(7), 2429-2439.
- Wang, X., et al. (2016). “Mechanisms of Huaier polysaccharides in cancer treatment.” Biomedicine & Pharmacotherapy, 83, 1085-1091.
- Liu, C., et al. (2018). “Effect of Huaier granule on recurrence after curative resection of HCC: A multicentre, randomised clinical trial.” Gut, 67(11), 2006-2016.
- Wang, X., et al. (2016). “Huaier aqueous extract suppresses human breast cancer cell proliferation through inhibition of estrogen receptor α signaling.” Biomedicine & Pharmacotherapy, 83, 351-360.
- Zhang, L., et al. (2020). “Efficacy and safety of Huaier granules combined with chemotherapy for gastric cancer: A protocol for systematic review and meta-analysis.” Cancer Medicine.
- Zhang, L., et al. (2020). “Efficacy and safety of Huaier granules combined with chemotherapy for ovarian cancer: A systematic review.” Cancer Medicine.
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