線維筋痛症・喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・糖尿病(特に2型)・うつ病・双極性障害・自閉症スペクトラム障害
統合失調症・学習障害・多汗症・発達性協調運動症・注意欠陥・多動性障害(ADHD)・結節性硬化症に伴うてんかん
パーキンソン病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)・レノックス・ガストー症候群・ウエスト症候群・ドラベ症候群
大田原症候群・心不全・脳卒中・ミオパチー・筋ジストロフィー・多発性硬化症・クローン病・リウマチ性関節炎
全身性エリテマトーデス(SLE)・自己免疫性肝炎(AIH)・更年期障害・性機能障害

ビタミンD

ビタミンDは、脂溶性ビタミンの一種で、紫外線を浴びることで皮膚で生成されるほか、魚類、卵、強化乳製品などの食品から摂取されます。20世紀初頭に発見され、骨の健康を維持するために必要不可欠な栄養素として知られています。カルシウムやリンの吸収を助け、骨の形成や維持に関与するだけでなく、最近の研究では免疫調節作用、心血管疾患の予防、特定のがんリスクの低下との関連も示唆されています。

優位性

なぜ注目されているのか?

ビタミンDが注目される理由の一つは、その多様な生理的役割と健康維持における重要性にあります。ビタミンDは、私たちの体内でカルシウムやリンの吸収を促進し、骨の形成と維持を助けることで知られていますが、これだけにとどまりません。免疫系を調整し、炎症を抑制する働きもあり、感染症や自己免疫疾患の予防に寄与する可能性が示唆されています。

また、近年の研究では、ビタミンDの欠乏がうつ病、心血管疾患、特定のがんなど、さまざまな慢性疾患のリスクを高める可能性が指摘されています。このため、ビタミンDの補充がこうした疾患の予防や治療の補助として注目されています。

さらに、ビタミンDは比較的安全な栄養素とされており、適切な範囲での補充が推奨されています。特に、日光不足や高緯度地域に住む人々、あるいは高齢者では、ビタミンDの欠乏が起こりやすいため、その重要性が改めて認識されています。

抗炎症作用
ビタミンDは、炎症性サイトカイン の産生を抑制し、抗炎症性サイトカインの分泌を促進することで、炎症を抑えます。関節リウマチや炎症性腸疾患(IBD)などの慢性炎症性疾患において、炎症マーカー(CRP)の低下が報告されています。
血糖調節
ビタミンDはインスリン分泌を調節し、インスリン感受性 を高めることで、糖尿病患者の血糖コントロールを助ける可能性があります。研究では、血糖値や HbA1c の改善が確認されています。
抗うつ作用
セロトニンやドーパミンの調節を通じて、軽度から中等度のうつ病症状の改善が報告されています。日光を浴びる時間が少ない地域や季節性うつ病にも効果が期待されています。
骨の健康促進
ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を高めることで、骨密度を維持し、骨形成を促進します。骨粗しょう症や骨折リスクの軽減に寄与することが明らかになっており、高齢者や閉経後女性への補充が推奨されています。
心血管保護
血管内皮機能の改善や炎症の抑制により、動脈硬化や高血圧のリスクを低減する作用があります。また、血管の弾力性の維持を助けることで、循環器系全般の健康を支える働きも注目されています。
疼痛緩和
ビタミンDは神経痛や慢性疼痛の緩和に寄与します。特に、線維筋痛症や慢性腰痛の患者において、痛みの軽減が確認されています。
免疫調整
ビタミンDは、ナチュラルキラー(NK)細胞マクロファージ の活性を調整し、感染症に対する防御力を高めます。また、自己免疫疾患(例:多発性硬化症、1型糖尿病)のリスク低減にも関与している可能性があります。
認知機能の改善
アルツハイマー型認知症患者において、記憶力や注意力の向上、神経炎症の抑制が報告されています。特に、ビタミンDの欠乏が認知症リスクの増加と関連している点が注目されています。
臨床効果データ

どの程度の効果があるか?

これらの結果が得られたのは特定の試験条件や対象群に限られており、すべての個人や状況で同様の結果が得られることを保証するものではありません。

対象疾患と効果
対象人数
投与内容
骨粗しょう症

骨密度の改善と骨折リスクの低下が確認されました。

200人
ビタミンD3 0.02 mg/日、カルシウム1000 mg/日、12カ月投与
多発性硬化症

再発率の低下と疲労感の軽減が確認されました。

60人
ビタミンD3 0.25 mg/日(10,000 IU)、6カ月投与
2型糖尿病

インスリン抵抗性が改善し、空腹時血糖値の減少が観察されました。

100人
ビタミンD3 0.1 mg/日(4000 IU)、6カ月投与
うつ病(軽度~中等度)

うつ症状が有意に軽減し、QOL(生活の質)が向上しました。

80人
ビタミンD3 0.05 mg/日(2000 IU)、8週間投与
慢性閉塞性肺疾患(COPD)

急性増悪の頻度が減少し、呼吸機能がわずかに改善しました。

182人
ビタミンD3 0.075 mg/日、12カ月投与
重要ポイント

どの様な特性があるか?

ビタミンDは日光浴で生成される。
日常的な健康サポート目的であれば食事から摂取が可能。

ビタミンDは、食事や日光浴を通じて体内に取り入れることができます。しかし、臨床試験の様に治療補助目的の場合は食事だけで十分な量を摂取するのは難しいと言えます。

ビタミンDの種類

一言にビタミンDと行っても様々な種類があり特性が異なります。

種類・特徴
生理作用
主に含まれる食材
ビタミンD₂(エルゴカルシフェロール)

植物性由来。安定性がD₃より低いが利用可能

骨の健康維持、カルシウム代謝の調整
干ししいたけ、UV照射きのこ
ビタミンD₃(コレカルシフェロール)

動物性由来、吸収率や安定性が高い

免疫機能強化、筋肉維持、骨代謝調節
魚(サケ、サバ、イワシ)
25-ヒドロキシビタミンD

D₂・D₃が肝臓で代謝される中間体

血中のビタミンD濃度を示す指標
食材に含まれず、体内で生成
1,25-ジヒドロキシビタミンD

腎臓で生成される活性型ビタミンD

骨代謝、免疫調節、細胞分化に直接作用
食材に含まれず、1日15分程度の日光浴で体内で生成

摂取量の目安

食事から摂取する場合、きくらげや干しシイタケがお勧めです。キノコ類は通常、栽培時に農薬を使用する事は無く、ビタミンD以外の成分も非常に有用な成分を多く含みます。

食材
ビタミンD含有量
1日の必要量
しらす干し(半乾燥品)

サラダや和え物のトッピングにおすすめ。カルシウムも豊富。海洋汚染のリスクは比較的少ない。

100gあたり約0.061mg
約14g(大さじ2杯程度)
鮭(焼き鮭)

焼き鮭は日常的に取り入れやすいビタミンD源。海洋汚染リスクや養殖の場合は薬剤のリスクも考慮。

100gあたり約0.020mg
約43g(切り身の1/3程度)
さば(焼きさば)

脂肪分の多い青魚で、ビタミンDだけでなく、EPAやDHAも含む栄養価の高い食品。海洋汚染のリスクを考慮。

100gあたり約0.019mg
約45g(切り身の1/3程度)
干ししいたけ

天日干しされているものが特に有効。スープや煮物に加えて摂取すると良い。

100gあたり約0.017mg
約50g(約5-6枚)
きくらげ(乾燥)

非常にビタミンDが多く、少量で効率的に摂取可能。水で戻して炒め物やサラダに活用すると良い。

100gあたり約0.130mg
約7g(ひとつかみ程度)

副作用・注意

日本では、法律上、食品扱いの成分です。安全性は高いと言えますが、念の為、以下にご注意下さい。

ビタミンDの使用に注意が必要な人:高カルシウム血症の方、腎結石や腎疾患のある方。
副作用: 高カルシウム血症による症状(悪心、吐き気、便秘、倦怠感)
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