高血圧・変形性関節症・動脈硬化・糖尿病・認知症(アルツハイマー)
脳卒中・がん(腫瘍)・パーキンソン・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・多発性硬化症
慢性疲労・更年期障害・性機能障害

ジンセノサイド

ジンセノサイドは、高麗人参、アメリカ人参、田七人参などのウコギ科植物に含まれるサポニンの一種です。この成分は、人参の主要な薬理作用を担うとされ、免疫調整、抗炎症、抗癌作用など、さまざまな健康効果が報告されています。高麗人参には約30種類のジンセノサイドが含まれています。ジンセノサイド全体の種類は100種類以上存在し、研究は進行中です。

優位性

なぜ注目されているのか?

中国では、ジンセノサイドを含む高麗人参は、古代医書『神農本草経』(紀元前200年頃)において「上品」に分類され、約365種類の生薬の中でも最高位に位置づけられる特別な存在とされています。虚弱体質の改善、精神の安定、免疫力の向上などを目的に利用されてきた伝統的な健康資源であり、現在でも伝統中医学の処方や薬膳に取り入れられています。
また、ジンセノサイドは、単一の症状に限定されず、複数の作用メカニズムを通じて幅広い健康効果が期待されています。特に、がんや免疫に関連する効果での高いポテンシャルが注目されています。

疲労軽減
慢性疲労症候群患者で、エネルギー代謝の改善と ATP 産生の促進を通じ、肉体的および精神的な疲労感の軽減が確認されています。
認知機能改善
神経細胞の保護作用により、記憶力や集中力の向上が確認されています。加齢やストレスによる認知機能低下を補助する可能性が示唆されています。
性機能改善
血管拡張作用を通じ、勃起不全(ED)患者の勃起機能スコアの向上が確認されています。精子運動性や精子数の増加も期待されています。
血糖調節
インスリン感受性 を高め、空腹時血糖値や食後血糖値を低下させる作用が示唆されています。糖尿病患者で HbA1c やインスリン分泌効率の改善も報告されています。
心血管保護
血管拡張や血流改善を通じ、動脈硬化や高血圧リスクの軽減が期待されています。LDLコレステロール 低下や血圧安定化の効果も報告されています。
抗がん作用
がん細胞の成長を抑制し、アポトーシス(細胞の計画的死)を誘導する作用や血管新生を抑制することで、がん細胞への栄養供給を遮断し、がんの進行を遅らせる可能性が示唆されています。
免疫調整
K細胞T細胞 の活性化を通じ、感染症リスク低減や免疫バランスの調整が期待されています。過剰な免疫反応を抑える効果も報告されています。
更年期症状の緩和
女性ホルモン様作用により、ホットフラッシュや不眠、気分変動などの更年期症状の軽減が示されています。
臨床効果データ

どの程度の効果があるか?

これらの結果が得られたのは特定の試験条件や対象群に限られており、すべての個人や状況で同様の結果が得られることを保証するものではありません。

対象疾患と効果
対象人数
投与内容
肺がん(Rg3投与)

1年生存率が25%向上し、腫瘍マーカー(CEA)が平均30%減少。化学療法の副作用が緩和。

78人
ジンセノサイドRg3を継続投与(化学療法併用)
大腸がん(Rg3投与)

再発率が20%低下し、生活の質(QOL)が改善。免疫指標(NK細胞活性)が15%向上。

92人
ジンセノサイドRg3を継続投与
2型糖尿病(Rb1投与)

Rb1を投与したグループで空腹時血糖値が平均15%低下。HbA1cが平均0.8%減少。

120人
ジンセノサイドRh2を1日20mg、6ヶ月間投与
アルツハイマー病(Rg1投与)

認知症評価尺度(ADAS-cogスコア)が平均15%改善。血中酸化ストレスマーカー が有意に低下。

80人
ジンセノサイドRg1を1日60mg、24週間継続投与。
血管機能および高血圧(Re投与)

Reを投与したグループで収縮期血圧が平均10mmHg低下。血管内皮依存性血管拡張機能(FMD)が20%改善。

100人
ンセノサイドReを1日100mg、8週間継続投与。
脳卒中後の回復(Rd投与)

神経機能障害スコア(NIHSS)が有意に改善。改善率はプラセボ群と比較して30%高い。

150人
ジンセノサイドRdを1日60mg、4週間継続投与。
免疫機能の改善

NK細胞活性が平均25%向上。CRP が平均15%低下。

90人
ジンセノサイドRh1を1日50mg、6週間継続投与。
重要ポイント

どの様な特性があるか?

高麗人参に含まれる「ジンセノサイド」は2~3%程度。
高麗人参に含まれる「Rh2・Rg3」(抗がん作用が強いジンセノサイド)は、0.05%以下。
ジンセノサイドは、そのままでは体内に吸収・利用されにくい。

高麗人参は日本でも栄養ドリンクなど様々な形で人気の高い健康食材の一つですが、高麗人参そのものを摂取するだけでは、目的成分である「ジンセノサイド」の効果を十分に得ることが難しい場合があります。日常的に適量の高麗人参を摂取することで、一定の健康サポートが期待できますが、治療補助目的では大きな期待はできません。

3%

生体利用率

主要なジンセノサイドの生体利用率は1~3%の場合の数値。生体利用率とは、摂取した成分が消化・吸収されて血液中に到達し、その後、全身で効果を発揮できる割合を示す指標です。たとえば、ある成分を100mg摂取して、そのうち10mgが血液中に到達した場合、生体利用率は10%となります。

ジンセノサイドの種類

高麗人参、アメリカ人参、田七人参などには、以下の様なジンセノサイドが含まれます。

プロトパナキサジオール系(PPD系)

  • Rb1: 鎮静作用や抗酸化作用があり、記憶力向上に寄与する可能性があります。
  • Rb2: 免疫調整や抗腫瘍作用が示唆され、血糖値の安定化にも関与すると考えられています。
  • Rc: 抗炎症作用を持ち、ストレス軽減や慢性疾患の予防に役立つ可能性があります。
  • Rd: 神経保護作用が強く、脳卒中や神経障害の回復を助ける効果が示唆されています。
  • Rg3: がん細胞の増殖抑制やアポトーシス(細胞死)の誘導に寄与すると考えられています。
  • Rh2: 免疫強化作用があり、がん治療の補助として期待されています。

プロトパナキサトリオール系(PPT系)

  • Rg1: 中枢神経を刺激し、集中力や記憶力の向上、疲労回復を助ける可能性があります。
  • Re: 抗酸化作用が強く、免疫機能の改善や血流促進を助けると考えられています。
  • Rg2: 神経保護作用を持ち、ストレス軽減や認知症予防に効果が期待されています。
  • Rh1: 抗炎症作用があり、皮膚の健康維持やアンチエイジング効果が示唆されています。

特殊なジンセノサイド

  • Compound K(CK): 腸内細菌がジンセノサイドを代謝して生成する成分で、抗炎症作用や抗がん作用を示すとされています。Rb1やRdなどのジンセノサイドは乳酸菌によって数時間~24時間でCompound Kに変換される事があります。現時点では、人試験が行われていない為、データが不足しています。

Rh2とRg3の種類(S型・R型)

特に注目されているジンセノサイドRh2とRg3には、それぞれS型とR型の異性体があります。これら型の違いで作用や効果に特徴があります。

  • S型「Rh2/Rg3」: 主に抗がん作用が強い異性体。がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導し、増殖や転移を抑制する効果が報告されています。
  • R型「Rh2/Rg3」: 抗がん作用はS型ほどではありませんが、免疫調整や抗炎症効果に優れているとされています。

S型は特に抗がん治療補助に、R型は免疫調整や炎症抑制目的で活用が検討されています。それぞれの特徴を生かし、混合製品や用途に応じた利用が進められています。

摂取方法

どのように摂取すればいいか?

高麗人参の抽出物「ジンセノサイド」そのものを摂取する。
ナノ化リポソーム化、発酵されたジンセノサイドを使用する。
プロバイオティクスを併用し、腸内での代謝を促進。

巷で「高麗人参はがんに効く」と言われるのは、「Rh2」「Rg3」に関する臨床試験データが元になっていると考えられます。しかし、これらの試験で使用される投与量を乾燥状態の高麗人参に換算すると、毎日数kg~数十kgを摂取する必要があります。これでは現実的ではありません。「がんに効果がなかった」という意見が出る原因の1つと考えられます。

単に高麗人参そのものを摂取するだけでは不十分で、効果を得るには「Rh2」や「Rg3」のような有効成分そのものを一定量摂取する必要があります。また、臨床試験では、生体利用率を高める加工が施された製品が用いられることが多い点にも留意が必要です。

摂取量の目安

以下は生体利用率を高める加工がされていない場合の目安です。

健康サポート(低用量):10mg以下/回
治療の補助(高容量):10~50mg/回(1日2、3回に分ける)
摂取量上限:1日150mg以下(副作用を極力、避ける為)

副作用・注意

日本では、法律上、食品扱いの成分です。安全性は高いと言えますが、念の為、以下にご注意下さい。

ジンセノサイドを避けるべき人:妊娠中・授乳中の女性、子供、血液凝固障害を持つ人、薬剤の相互作用の可能性が高い人(例: 抗凝固薬、糖尿病薬、抗うつ薬を使用中)
副作用:消化器の不調(胃痛、吐き気、下痢)、不眠や神経過敏、血糖値や血圧の変動、アレルギー反応(発疹、じんましん)、ホルモンバランスの乱れ(月経周期の乱れ、性欲変動)があり、高用量や長期間の使用で副作用のリスクが高まります。

ジンセノサイド関連記事

参考文献:

  1. Shi, M., Chen, X., & Han, S. (2013). A randomized clinical trial of Ginsenoside Rg3 combined with chemotherapy in patients with advanced NSCLC. The Chinese Journal of Lung Cancer.
  2. Zhang, Q., Kang, X., Zhao, W., & Yang, Q. (2009). Clinical observation of ginsenoside Rg3 combined with chemotherapy in colorectal cancer. Chinese Journal of Integrated Traditional and Western Medicine.
  3. Kim, S. Y., Park, S. E., & Lee, H. J. (2014). Effects of ginsenoside Rb1 on glucose metabolism in patients with type 2 diabetes. Diabetes Research and Clinical Practice.
  4. Vuksan, V., Jenkins, A. L., & Wong, J. M. W. (2008). Effects of American ginseng extract (rich in ginsenoside Re) on blood pressure and vascular health. Hypertension.
  5. Zhang, H., Liu, D., & Li, Q. (2021). Effects of ginsenoside Rg1 on cognitive function in patients with mild cognitive impairment: A randomized controlled trial. Journal of Ginseng Research.
  6. Zhang, Y., Liu, F., & Wang, J. (2014). Ginsenoside Rd for the treatment of acute ischemic stroke: A randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Stroke.
  7. Reay, J. L., Kennedy, D. O., & Scholey, A. B. (2006). Effects of Panax ginseng on immune function in healthy adults: A randomized controlled trial. Psychopharmacology.