慢性疼痛・線維筋痛症・帯状疱疹・アトピー性皮膚炎・乾癬・過敏性腸症候群(IBS)・喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
糖尿病(特に2型)・心的外傷後ストレス障害(PTSD)・パーキンソン病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)
ウエスト症候群・ドラベ症候群・ハンチントン病・大田原症候群・高血圧・動脈硬化・がん(腫瘍)・脳卒中・
心筋梗塞・外傷性脳損傷(TBI)・多発性硬化症・潰瘍性大腸炎・クローン病・認知症(アルツハイマー等)
変形性関節症・リウマチ性関節炎・ベーチェット病・全身性エリテマトーデス(SLE)・自己免疫性肝炎(AIH)・慢性疲労

クルクミン

クルクミンは、ウコン(ターメリック)に含まれる黄色の色素成分で、近年その健康効果が多くの研究で明らかにされています。特に、慢性的な炎症や酸化ストレス、さらにがんやアルツハイマー病の進行を抑える可能性が示唆されており、非常に多くの生理的プロセスに作用する事が特徴で、医療や健康分野で大きな関心を集めています。

優位性

なぜ注目されているのか?

クルクミンは、インドと中国の伝統医学において古くから重宝されてきた成分です。インドでは、約4,000年前からアーユルヴェーダ医学で利用され、炎症の抑制、消化促進、傷の治療などに活用されてきました。中国では「郁金(うっこん)」として知られ、血行促進や解毒作用、さらには気分を安定させる効果が期待されてきました。中国伝統医学では、痛みや炎症の緩和に役立てられました。

抗炎症作用
慢性炎症性疾患(例:関節リウマチ、変形性関節症)において、炎症マーカー(CRPTNF-α)の低下や痛みの軽減が確認されています。
認知機能改善
アルツハイマー型認知症患者において、記憶力や集中力の向上、神経炎症の抑制が確認されています。
抗腫瘍作用
クルクミンは、がん細胞に アポトーシス(計画的細胞死)を誘導する作用を持ちます。シグナル経路の阻害や ミトコンドリア 機能の変化を通じて、がん細胞の生存を抑制し、幅広いがん種でこの効果が確認されています。
肝臓保護作用
クルクミンは肝細胞を保護し、アルコール性肝炎や脂肪肝疾患の進行を抑えることが報告されています。酸化ストレスや炎症を軽減することで、肝臓のデトックス機能を維持します。
抗老化作用
クルクミンは、細胞の老化を遅らせることでアンチエイジング効果を発揮します。 長寿遺伝子(SIRT1) の活性化を促進し、シワやたるみの予防に寄与します。
アレルギー症状の緩和
クルクミンは、抗ヒスタミン作用 を持ち、アレルギー性鼻炎や喘息の症状を軽減します。また、炎症性サイトカインの生成を抑えることで、アレルギー反応の重症化を防ぐ働きも報告されています。
血糖調節
インスリン感受性 を向上させ、空腹時血糖値や HbA1c の低下が報告されています。糖尿病患者の血糖管理を補助する可能性が示唆されています。
うつ症状の緩和
軽度から中等度のうつ病患者において、セロトニンドーパミン の調節を通じた症状軽減が確認されています。
抗血管新生作用
クルクミンは異常な 血管新生 を抑え、がん細胞の増殖や転移を防ぐ可能性があります。腫瘍周辺の血管形成を抑制し、栄養供給を遮断する作用が注目されています。また、糖尿病性網膜症など血管異常の疾患にも効果が期待されています。
骨の健康促進
クルクミンは骨密度を維持し、骨形成を促進する作用があることが報告されています。炎症性サイトカイン の抑制により、骨吸収を抑え、骨粗しょう症の予防に役立ちます。
疼痛緩和
クルクミンは炎症性痛や神経痛を軽減する作用があります。関節リウマチや線維筋痛症など、慢性疼痛の緩和に寄与することが示されています。
心血管保護と血流改善
LDLコレステロールトリグリセリド の低下、血管内皮機能の改善が観察され、動脈硬化や高血圧のリスク軽減が示唆されています。
免疫調整
ナチュラルキラー(NK)細胞 活性を促進し、感染症リスクの低減や免疫バランスの維持に寄与する可能性があります。
抗肥満作用
クルクミンは脂肪組織の炎症を抑え、脂質代謝を改善することで抗肥満効果を発揮します。脂肪の蓄積を抑制し、特に内臓脂肪の減少に寄与するとされ、メタボリックシンドロームや肥満関連疾患の予防に期待されています。
腸内環境の改善
クルクミンは、腸内フローラ の多様性向上や腸粘膜のバリア機能強化が確認されており、腸の健康全般に寄与し、過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)の症状改善が期待されています。
抗線維化作用
クルクミンは、肺や肝臓、腎臓などの組織で異常な線維化を抑制します。これにより、肺線維症や肝線維症などの進行を遅らせる効果が期待されています。
臨床効果データ

どの程度の効果があるか?

これらの結果が得られたのは特定の試験条件や対象群に限られており、すべての個人や状況で同様の結果が得られることを保証するものではありません。

対象疾患と効果
対象人数
投与内容
関節リウマチ

痛みの軽減やC反応性蛋白の減少において、ジクロフェナクナトリウムよりも有意な効果が確認されました。

45人
クルクミン500mgを1日2回、8週間投与
冠動脈疾患

酸化ストレスマーカーが低下し、HDLコレステロールが上昇しました。

121人
クルクミン1gを1日2回、12週間投与
大腸がん(化学療法併用)

再発率が低下し、腫瘍縮小率が増加しました。

89人
クルクミン1gを1日2回、8週間投与
膵臓がん

炎症マーカーの低下と一部の患者で腫瘍縮小が確認されました。

44人
クルクミン8gを1日1回、12週間投与
2型糖尿病

空腹時血糖値やHbA1cの改善が報告されています。

150人
クルクミン1gを1日2回、8週間投与
慢性炎症性疾患

CRP、TNF-αなどの炎症マーカーが有意に低下し、症状の緩和が確認されました。(関節リウマチ、潰瘍性大腸炎など)

320人
クルクミン1gを1日2回、12週間投与
潰瘍性大腸炎(IBD)

臨床症状と内視鏡所見が改善し、再発率が低下しました。

50人
クルクミン1gを1日2回、8週間投与
重要ポイント

どの様な特性があるか?

ウコンに含まれる「クルクミン」は2~3%程度。
クルクミンは、そのままでは体内に吸収・利用されにくい。

ウコンは日本では定番化した健康食材の1つですが、ウコンのままでは目的成分の「クルクミン」の効果をほとんど得る事ができません。インドの食文化の様に、日常的に大量にウコン(ターメリック)を摂取していれば一定の健康サポートは考えられます。

1%

生体利用率

クルクミンの生体利用率は非常に低く、0.1~1%未満とされています。生体利用率とは、摂取した成分が消化・吸収されて血液中に到達し、その後、全身で効果を発揮できる割合を示す指標です。たとえば、ある成分を100mg摂取して、そのうち10mgが血液中に到達した場合、生体利用率は10%となります。

クルクミンの種類

クルクミンはターメリック(ウコン)の主要な活性成分であり、「クルクミノイド」という天然ポリフェノール群に分類されます。クルクミノイドには3つの主要な種類が存在し、それぞれ異なる特性と作用を持っています。

  • クルクミンI:ターメリックに最も多く含まれる成分(全体の約77%)で、強力な抗炎症作用と抗酸化作用を持つことが特徴です。これにより、関節の健康をサポートし、体内の酸化ストレスを軽減することで、慢性的な炎症関連疾患の予防や健康維持に寄与する可能性が示唆されています。
  • デメトキシクルクミン:ターメリック中で約17%を占める成分で、抗炎症作用と細胞保護作用に注目されています。特に、神経細胞を保護し、脳の健康や認知機能の維持に役立つ可能性があり、神経変性疾患のリスク軽減が期待されています。
  • ビスデメトキシクルクミン:ターメリック中で最も少量(約3%)含まれる成分ですが、細胞の健康維持や体の防御機能の調整に関与する可能性が示唆されています。他のクルクミノイドと比較すると研究は限られていますが、免疫機能の強化や健康維持に寄与する補助的な役割が期待されています。

また、クルクミンが体内で代謝される際に生成される主な代謝産物の一つである テトラヒドロクルクミン は、クルクミンを超えるいくつかの効果が判っています。

摂取方法

どのように摂取すればいいか?

ウコンから抽出した「クルクミン」そのものを使用する。
ナノ化、リポソーム化などの「低分子クルクミン」を使用する。
生体利用率を高める「ピペリン」と一緒に摂取する。
より強力な「テトラヒドロクルクミン」を使用する。

クルクミンの吸収率は、その加工方法によって大幅に変わります。例えば、黒コショウ由来の「ピペリン」を加えることで、クルクミンの吸収率が約20倍に向上することが研究で示されています。また、ナノ化技術を用いた場合には、通常のクルクミンに比べて吸収率が数倍から数十倍向上することが報告されています。リポソーム化では、特定の条件下で吸収効率が約5~10倍に改善されるケースもあります。

技術的には、吸収率を100~200倍程度まで向上させる事が可能です。

ただし、これらの方法による吸収率の向上が、必ずしも体内での効果発揮時間や生体利用率の改善につながるとは限りません。吸収力が高まっても、血中濃度の持続性や生体利用効率が低い場合には期待される効果が得られない可能性があるためです。

この課題に対して注目されているのが、「テトラヒドロクルクミン」です。テトラヒドロクルクミンはクルクミンの代謝物で、クルクミンよりも水溶性が高く、安定性や生体利用率に優れていることが知られています。研究によれば、テトラヒドロクルクミンはクルクミンと同等あるいはそれ以上の抗酸化作用や抗炎症作用を持つとされ、体内での効果持続性にも優れている可能性が示唆されています。これにより、従来の吸収率改善策が抱える問題を解決できる選択肢として期待されています。

摂取量の目安

以下は生体利用率を高める加工がされていない場合の目安です。

健康サポート(低用量):200mg/回
治療の補助(高容量):500~2,000mg/回(1日2~3回に分ける)
摂取量上限:1日最大8,000mg以下(副作用を避けるため)

副作用・注意

日本では、法律上、食品扱いの成分です。安全性は高いと言えますが、念の為、以下にご注意下さい。

クルクミンを避けるべき人:妊娠中・授乳中の女性、胆石や胆道閉塞がある人、血液凝固障害を持つ人、または抗凝固薬や抗血小板薬を使用している人。
副作用:消化器の不調(胃痛、吐き気、下痢)、アレルギー反応(発疹、じんましん)、低血糖のリスクがあり、高用量摂取で副作用が起こる可能性があります。

クルクミン関連記事

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