オメガ3脂肪酸は、特に魚油や亜麻仁油に多く含まれる必須脂肪酸であり、その健康効果が多くの研究で実証されています。特に、心血管疾患の予防や脳機能の改善、慢性的な炎症の抑制などに寄与することが示唆されており、全身の健康をサポートする重要な役割を担っています。これらの特性により、医療や栄養科学の分野で注目を集めています。
認知機能改善
視機能の改善
胎児の発達支援
疼痛緩和
抗線維化作用
心血管保護作用
抗うつ作用
免疫調整作用
脂質代謝の改善
抗酸化作用
認知機能の改善
免疫調整
抗腫瘍作用
抗血栓作用
腸内環境の改善
骨の健康促進
これらの結果が得られたのは特定の試験条件や対象群に限られており、すべての個人や状況で同様の結果が得られることを保証するものではありません。
対象疾患と効果
関節リウマチ
関節リウマチ患者において、オメガ3脂肪酸の摂取が痛み、朝のこわばり、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用量を有意に低下させました。
アルツハイマー型認知症
軽度から中等度のアルツハイマー患者で、DHAを補充することで 認知機能スコア がプラセボ群と比較して緩やかに改善しました。
潰瘍性大腸炎(IBD)
オメガ3脂肪酸の投与が臨床症状と内視鏡的炎症を改善し、再発率を低下させる効果を示しました。
トリグリセリドの低下(高トリグリセリド血症)
血中トリグリセリドが大幅に低下し、心血管疾患リスクの軽減が示唆されました。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
小児ADHD患者において、EPA+DHAの補充が行動スコアの改善や注意力向上を示しました。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
炎症性マーカー(CRP、IL-6)の低下と肺機能(FEV1/FVC 比)の改善が確認されました。
心不全
慢性心不全患者において、オメガ3脂肪酸の補充により全死因死亡率と心血管イベントのリスクが有意に低下しました。
乳がん(ホルモン受容体陽性)
ホルモン療法と併用することで、乳がんの再発率が低下し、生存率の改善が確認されました。
結腸直腸がん(術後再発予防)
手術後の患者で、オメガ3脂肪酸の補充が再発率低下と全生存率向上に寄与しました。
和食では、イワシやサバなど、背の青い魚を良く食します。これらの食事から十分に摂取する事も可能ですが、この場合、週に2~3食を必要とします。動物由来を避けたい方は、や食事からの摂取が難しい場合は、サプリメントを利用する必要があります。
70%
生体利用率
DHA/EPAの生体利用率は60~80%とされています。生体利用率とは、摂取した成分が消化・吸収されて血液中に到達し、その後、全身で効果を発揮できる割合を示す指標です。たとえば、ある成分を100mg摂取して、そのうち10mgが血液中に到達した場合、生体利用率は10%となります。DHA/EPAの場合、生体利用率は摂取形態や個人差により異なります。特に、トリグリセリド型やリン脂質型では生体利用率が高い一方、エチルエステル型ではやや低下することがあります。
オメガ3脂肪酸の種類
オメガ3脂肪酸は、その化学構造に基づき以下の3つに分類され、それぞれが異なる健康効果を持ちます。
- EPA(エイコサペンタエン酸)
EPAは炎症を抑える エイコサノイド(プロスタグランジンE3 や ロイコトリエンB5)を生成する前駆物質として作用します。この機能により、体内の過剰な炎症反応を制御し、血管内皮の保護や血液の凝固を抑制する役割を果たします。また、トリグリセリド の合成を抑えることで、血中脂質のバランスを改善します。 - DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHAは、脳や網膜など高い脂質含量を持つ組織の細胞膜を構成する重要な成分で、細胞膜の流動性や シグナル伝達 を最適化します。これにより、神経細胞間の情報伝達効率を高めるだけでなく、酸化ストレスの軽減にも寄与します。さらに、ニューロプロテクチンD1 という抗炎症性分子の前駆体としても作用します。 - ALA(α-リノレン酸)
ALAは植物性オメガ3脂肪酸で、体内で酵素の作用を受け、EPAやDHAに変換されます(効率は10~15%程度)。その主な役割は、細胞膜の基礎構造の維持とエネルギー供給です。また、ALA自体にも軽度の抗炎症作用があるほか、細胞膜の安定性や柔軟性の向上に寄与します。
特性/作用 | DHA(ドコサヘキサエン酸) | EPA(エイコサペンタエン酸) |
---|---|---|
主な分布 | 脳、神経組織、網膜、心臓 | 血液、心臓、肝臓 |
炎症抑制 |
- 抗炎症性メディエーター(例:レゾルビンD、プロテクチンD)の生成 - 神経系炎症の抑制 - 炎症性マーカー(例:TNF-α、IL-6)の軽減 |
- 抗炎症性メディエーター(例:レゾルビンE)の生成 - 全身性炎症の抑制 - 炎症性マーカー(例:CRP、TNF-α、IL-6)の低下 |
主要な臨床効果 |
- 認知症、アルツハイマー病、うつ病の予防や症状緩和 - 網膜機能の保護(視力低下の抑制) - 学習能力向上 - 胎児の脳発達や視覚機能向上 |
- 心血管疾患(高トリグリセリド、動脈硬化、高血圧)の予防 - 関節炎や炎症性腸疾患(IBD)など全身性炎症の抑制 - 血小板凝集抑制による血栓リスクの低減 |
神経系への影響 | 脳内で高濃度に存在し、神経細胞の膜の流動性や受容体活性を高める | 直接的な影響は少ないが、全身性炎症抑制による間接的な効果がある |
心血管系への影響 | 血圧や血小板凝集への影響は限定的 | 血小板凝集抑制、トリグリセリド低下、血流改善 |
細胞膜への影響 | 細胞膜の流動性を高め、シナプス 機能を強化 | 血管内皮機能を改善し、動脈硬化を抑制 |
抗血栓作用 | 比較的弱い | 強い(血小板凝集抑制による効果) |
EPA/DHAの生体利用率は、摂取形態や食事内容に大きく左右されます。
例えば、天然トリグリセリド型(nTG型)の魚油(魚を食事で摂取、藻由来)は、体内での生体利用率が高いとされています。一方、エチルエステル型(EE型)は加工魚油(魚油サプリメント)に多く含まれますが、nTG型よりやや生体利用率が低いことが報告されています。
サプリメント選びのポイント
EPA/DHAサプリメントを選ぶ際には、純度や酸化防止加工(トコフェロール や ビタミンC 添加)が施されているかを確認し、重金属や酸化物のリスクが低い、信頼性の高い製品を選ぶことが重要です。また、海洋汚染のリスクから藻由来のEPA/DHAサプリメント(藻由来でも様々なものが有り)を選択する事をお勧めします。特に妊婦の方は、藻由来の選択が必須でしょう。
特徴 | 魚由来(EE型魚油) | 藻由来A | オキアミ由来 |
---|---|---|---|
主な成分形態 | エチルエステル型(EE型) | 天然トリグリセリド型(nTG型)またはリン脂質型 | リン脂質型 |
植物性 | × | 〇 | × |
生体利用率 | 50~60% | 70~80% | 80~90% |
抗酸化特性 | 酸化されやすい | 酸化されにくい | 酸化耐性が非常に高い |
消化の容易さ | 胆汁酸が必要、消化がやや重いこともある | 消化が容易(脂肪吸収が苦手な人向き) | 消化が非常に容易 |
臭い | 魚臭がある場合が多い | 魚臭が少ない | 魚臭が少なく飲みやすい |
海洋汚染リスク | 高い | 全く無し~ほぼ無し(藻類の培養環境次第) | 低い |
アレルギーリスク | 魚アレルギーの可能性 | アレルギーなし | 甲殻類アレルギーに注意 |
食品名 | EPA/DHA含有量(目安) | 摂取量目安 | 備考 |
---|---|---|---|
サバ(焼き) | 1,500mg/100g | 週2~3回(1回約100g) | 脂肪が多い青魚で効率的にEPA/DHAを摂取可能。 |
イワシ(缶詰) | 1,200mg/100g | 週2~3回(1回約100g) | 骨ごと食べられるためカルシウムも補給できる。 |
サーモン(焼き) | 1,000mg/100g | 週2~3回(1回約100g) | DHAが特に豊富で、心血管疾患予防に有用。 |
マグロ(赤身、生) | 500mg/100g | 週2~3回(1回約150g) | 赤身より脂身の部分(トロ)がEPA/DHA含有量が高い。 |
ニシン(焼き) | 2,000mg/100g | 週1~2回(1回約100g) | 高脂肪魚の一種でEPAが特に多い。 |
サンマ(焼き) | 1,800mg/100g | 週1~2回(1回約100g) | 季節の食材として手軽に摂取可能。 |
ウナギ(蒲焼き) | 1,300mg/100g | 週1回(1回約100g) | DHAが豊富だが、調理法によりカロリーが高くなる点に注意。 |
クルミ | 2,500mg/100g(ALA) | 1日10~20g(約3~5粒) | ALA(α-リノレン酸)の供給源。体内で一部がEPA/DHAに変換されるが効率は低い。 |
チアシード | 2,300mg/15g(ALA) | 1日15~30g | 水分を加えると膨らむため、食感を楽しみながらALAを摂取可能。 |
亜麻仁油 | 7,000mg/15ml(ALA) | 1日15~30ml | ALAの濃縮供給源。熱に弱いため、ドレッシングなど生での利用が推奨される。 |
摂取量の目安
以下は、一般的な推奨摂取量です:
副作用・注意
日本では、法律上、食品扱いの成分です。安全性は高いと言えますが、念の為、以下にご注意下さい。
- Kremer, J. M., Lawrence, D. A., Petrillo, G. F., et al. (1995). Effects of high-dose fish oil on rheumatoid arthritis after stopping nonsteroidal antiinflammatory drugs. Arthritis & Rheumatology, 38(8), 1107–1114.
- Peet, M., & Horrobin, D. F. (2002). A dose-ranging study of the effects of ethyl-eicosapentaenoate in patients with ongoing depression despite apparently adequate treatment with standard drugs. Archives of General Psychiatry, 59(10), 913–919.
- GISSI-Prevenzione Investigators. (1999). Dietary supplementation with n-3 polyunsaturated fatty acids and vitamin E after myocardial infarction: results of the GISSI-Prevenzione trial. The Lancet, 354(9177), 447–455.
- Quinn, J. F., Raman, R., Thomas, R. G., et al. (2010). Docosahexaenoic acid supplementation and cognitive decline in Alzheimer disease: a randomized trial. JAMA, 304(17), 1903–1911.
- Stenson, W. F., Cort, D., Rodgers, J., et al. (1992). Dietary supplementation with fish oil in ulcerative colitis. Annals of Internal Medicine, 116(8), 609–614.
- Ballantyne, C. M., Bays, H. E., Kastelein, J. J. P., et al. (2012). Efficacy and safety of eicosapentaenoic acid ethyl ester (AMR101) therapy in statin-treated patients with persistent high triglycerides (from the ANCHOR study). The American Journal of Cardiology, 110(7), 984–992.
- Sinn, N., & Bryan, J. (2007). Effect of supplementation with polyunsaturated fatty acids and micronutrients on learning and behavior problems associated with child ADHD. Journal of Developmental & Behavioral Pediatrics, 28(2), 82–91.
- Matsuyama, W., Mitsuyama, H., Watanabe, M., et al. (2005). Effects of omega-3 polyunsaturated fatty acids on inflammatory markers in COPD. Chest, 128(6), 3817–3827.
- GISSI-HF Investigators. (2008). Effect of n-3 polyunsaturated fatty acids in patients with chronic heart failure (the GISSI-HF trial): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. The Lancet, 372(9645), 1223–1230.
- Bougnoux, P., Hajjaji, N., Ferrasson, M. N., et al. (2009). Improving outcome of chemotherapy of metastatic breast cancer by docosahexaenoic acid: a phase II trial. British Journal of Cancer, 101(12), 1978–1985.
- Song, M., Zhang, X., Meyerhardt, J. A., et al. (2017). Marine omega-3 polyunsaturated fatty acid intake and survival after colorectal cancer diagnosis. Gut, 66(10), 1790–1796.